2022/05/16

220619 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2022年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第261回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
2022年 6月19日(日)15:00~17:50

◆オンライン開催
Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
参加希望者は6月17日(金)12:30までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

> 申込フォーム https://forms.gle/miD2BTfGELZckpbL8

◆プログラム 

15:00~15:05 
渡部森哉(中部人類学談話会会長/南山大学)
開会の挨拶

《修士論文の部》(司会:宮脇千絵・南山大学)
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」
(提出先:愛知学院大学大学院宗教学仏教学専攻)

16:05~16:35 
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」
(提出先:名古屋市立大学大学院人間文化研究科)

休憩(15分)

《博士論文の部》(司会:深田淳太郎・三重大学)
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

◆発表要旨
《修士論文の部》
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」

【要旨】
 本論は、沖縄県宮古島市字島尻で毎年旧暦9月に行われる神行事「パーントゥプナハ」の準備から実施までのプロセスを民族誌的に記述し、行事が島尻社会の中でどのように位置づけられているのかを明らかにしようとするものである。
 パーントゥプナハは、3体の「パーントゥ」が集落を巡り、人や家屋に泥を塗り付け、招福と厄祓いを願うことに加え、集落3か所の特定の家では古老たちが酒宴を開き、パーントゥの来訪を待ち、歓待する行事である。論文では、行事の記述を中心的に行うとともに、行事以外でパーントゥのモチーフが現れた事例について記述した。
 行事の記述を通して、行事の実施は、様々な島尻の人々によって行われるものであること、行事の空間は、島尻の人々のみならず、見物人により形作られていること、また島尻の人々、見物人共に、行事への参与のあり方にも差異があることも指摘した。行事外では、パーントゥは島尻の象徴のように扱われる一方で、しばしば宮古島を代表するモチーフとして扱われることもあることを述べた。
 新型感染症の世界的流行に伴い満足な調査を行うことは出来なったが、地域で行われる伝統的行事の一側面を明らかすることはできたであろう。

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」

【要旨】
 星は、古来より北極星をはじめとして、航海や旅を行う際の目印に使われている。特に、漁業や農業、遊牧などを中心とした生業に活かし、星を頼みとする生活のなかで、星は次第に神格化されていき、星神信仰が発展してきたと考えられる。
 日本の星神信仰は、古代中国から朝鮮へと伝わり、日本へ影響したとされている。星を神とする信仰が日本にも伝わり、北極星や北斗七星を神格化したものとして、「妙見」が信仰されるようになる。妙見菩薩は、天皇たちなど貴族層から信仰され、民衆層へと広まっていったとされる。眼病平癒や息災にはじまり、武神や航海安全の神と幅広い特性をもって信仰されていった。
 本論文は、日本における妙見信仰を、先行研究を踏まえて整理した。さらに、従来の研究でほとんど扱われてこなかった、中部地域の妙見信仰を明らかにした。本論文では、愛知県春日井市内津町の内々神社と妙見寺を中心に、実地調査を踏まえて中部地域における妙見信仰の調査を行なった。

16:05~16:35
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」

【要旨】
 イギリスのウエディングケーキ等にみられる砂糖工芸はじめ、歴史上最も砂糖に熱狂したイギリスに関しては、文化人類学、社会学、経済学の視点から取り組まれた研究は多い(S.Mintz、S.Charsley、川北稔ら)。筆者は砂糖工芸がなぜこれほど発展し続けることが可能だったのかを考察した。
 本論ではサトウキビの歴史と、植民地生産の経緯を歴史的に検証した。次に身分制度の確立による食生活の差異化の中で、富と権力のシンボルとなった砂糖の使われ方ついて考察した。さらに時代とともに王室のウエディングケーキが巨大化したこと、紅茶や食器等砂糖の周辺の産業の興りや、砂糖細工職人、そして女性達についても論じた。
 結論としては、砂糖はイギリス王権の拡大のために必須の要素であったこと。中産階級が新たな砂糖消費者となり、貴族的な生活習慣を取り込むこととも深い関連があったこと等が理解された。

《博士論文の部》
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」

 本論文は、乳幼児期被爆者を含めた広島・長崎県内外で暮らす被爆者において、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージ、世間の眼差し等といった時空性・社会性に注目し、彼らのトラウマ反応とトラウマ記憶の形成・再生産の過程について明らかにするとともに、被爆者がそれぞれのトラウマとどのように折り合いをつけながら生きてきたのか、彼らの社会関係と社会環境の観点から再検討するものである。
 本論文では、PTSD概念の前提から離れ、外傷性記憶の典型的経路以外の経路にも着目することで、既存のPTSD概念からは零れ落ちてしまう事例を表面化させるとともに、被爆者にPTSD概念を適用することの妥当性についても検討した。本論文の意義は、被爆者のトラウマについて、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージに着目し、経時的・動態的に再考することで、被爆者における社会的・文化的・政治的な問題をひも解いた点にある。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/02/02

220226 中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)を2022年2月26日(土)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年2月26日(土) 13:00~17:45

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 参加希望者は2月25日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム https://forms.gle/68aiiin9Bc4WB3Xo7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶 

13:05~14:35 田中鉄也(中京大学)

 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

14:35~16:05 松崎かさね(鈴鹿医療科学大学)

 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

16:15~17:45 堀江未央(岐阜大学)

 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

◆発表要旨

田中鉄也 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

 本発表では北インドのマールワーリーと呼ばれる人々によるカースト族譜の編纂と、それに続いて開催された一族の会合を事例に取り上げ、現代インドで「一族」がいかに想像され、さらに「故郷」がいかに創造されるのか、その過程を検証したい。本発表で着目するのは西ベンガル州コルカタ(旧カルカッタ)のある合同家族が経営する私企業である。マールワーリーと呼ばれる彼(女)らは、独立後にラージャスターン州ジュンジュヌーからコルカタへ移住し、家族で会社を経営してきた。この会社の経営者たちが中心となって、1990年代から族譜が編纂され、さらに2000年代からジュンジュヌーで一族の会合が四度開催されてきた。本発表では、まず族譜において一族の系譜関係がいかに描かれ、それが実社会における成員たちの人間関係をいかに形作っているのかを明らかにする。次に一族の会合に目を向け、その主催者マールワーリーや招待された(非マールワーリーの)一族の成員、さらにジュンジュヌーの地元住民への聞き取りを通じて、その企画が「故郷」をどのように形作ってきたのかを明らかにする。

松崎かさね 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

 発表者が現在調査を行っている三重県のある漁港は、かつてその地域で最も栄えた港であったが、漁師の高齢化や漁獲量の減少に伴い一番最初に廃港になると言われている。漁師らは魚が獲れなくなった主な経緯として四日市公害、長良川河口堰の建設、周辺住民によるゴミ問題などを挙げ、これらの問題について行政に度々訴えてきたと話す一方、そのような経過を経てきた現在の状況を「自然の摂理」や「何が悪いというわけでもない」などとも語る。本発表では現在の状況とともにそうした彼らの了解の仕方に着目する。また、後半は同地域における「山の神」信仰を取り上げる。この地域には「山神」と書かれた石碑が多くあり、これは古事記の「大山津見神」(山の神)または民間信仰の「山の神」のことであると説明される。本発表では「山神」が一体そのどちらであるのかを巡る人々の説明から、この地域の信仰について考えてみたい。

堀江未央 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

 共生という用語は、「多文化共生」という日本の政策的スローガンとして用いられるほか、symbiosis、conviviality、co-existenceなど、様々な単語の訳語として用いられる。この多義的な言葉を考える上で、本発表では身体に着目する。共生の位相は多様であるが、社会的分断を乗り越え他者との共生的関係を生み出しうるひとつの可能性として、生身の人間同士の個別具体的な身体的接触がしばしば取り上げられる。しかし、身体は常に文化的コードを帯びたものであるため、たとえ生身の接触が起こったとしても、それが引き起こす関係のあり方は一様ではない。

 本発表では、中国雲南省西南部の山地に住むラフのローカルな身体観に着目し、ラフの社会関係をふちどる身体構成要素である魂と功徳のあり方を提示する。その上で、近年ますます接触する機会の増大する漢族が、このローカルな身体に基づく関係性の上でどのような位置づけに置かれているのか、この50年ほどの変化について検討する。これらの検討を通して、中国の少数民族として生きる雲南ラフにとって最大の他者である漢族との関わり方の変遷を論ずる。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/11/22

211218 第6回 まるはち人類学研究会(中部人類学談話会第259回例会)のお知らせ

2021年12月18日(土)に第6回まるはち人類学研究会(特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー)をオンラインにて開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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第6回 まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」)
【共催】:第164 回北陸人類学研究会例会(日本文化人類学会 北陸地区研究懇談会)、中部人類学談話会第259回例会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年12月18日(土)13:00~16:50

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 12月17日(金)正午までに、以下のURLに必要事項を記入して送信してください。
 開催日までにZOOMのアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム https://forms.gle/zpoHd8rgBJpHhQUT6

◆プログラム 

13:00-13:05 開会挨拶・趣旨説明 伊藤 泰信(JAIST)
13:05-13:15 参加者自己紹介


13:15-13:30(発表10分、質疑応答5分)
大谷かがり(JAIST博士前期課程)
「看護師はいかに知識と技を習得するのか──名古屋市内の訪問看護ステーションのエスノグラフィ」

13:30-13:45
川口弥恵子(JAIST博士後期課程)
「外来ジェネラリストナースの専門性——福岡県の内科クリニックにおける医療エスノグラフィ」

13:45-14:00
古新舜(JAIST博士後期課程)
「映画製作において産み出される関係論的な創造性の萌芽——パーキンソン病当事者を題材とした映画のエスノグラフィ」

14:00-14:15
山口宏美(JAIST研究員)
 「外来医療の現場における情報ツールを媒介とした多職種協働──糖尿病患者の診療情報の共有と可視化をめぐって」
 
14:15-14:35
コメント:中尾世治(京都大学)

14:35-14:45
コメントに対する発表者の応答
 
14:55-15:10
加藤英明(南山大学)
「仕事場をつくる──西三河地域における町工場の人びとのライフヒストリーを事例に」

15:10-15:25
木戸志緒子(愛知県立大学博士後期課程)
「ホスト社会の日本人と在日留学生の交流に関する個人別態度構造の比較」

15:25-15:40
天野紗緒里(名古屋大学)
「スピリアリティの実践提供者が認識する「生きづらさ」──「何」を癒すのか」
 
15:40-16:00
コメント:大戸朋子(法政大学)・伊藤泰信(JAIST)・比嘉夏子(JAIST)
16:00-16:10
コメントに対する発表者の応答
 
16:20-16:50 総合討論
16:50 閉会

2021/11/18

211121 中部人類学談話会第258回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)を2021年11月21日(日)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第258回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年11月21日(日)14:00~17:15

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 参加希望者は11月19日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム  https://forms.gle/xtwMawB39T7j5Nmi7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶

14:05~15:35 山本文子さん(三重大学ほか非常勤講師)
 「「ミャンマー」を想像/創造する――アウンサン将軍の伝記映画製作の事例から」  

15:45~17:15 二文字屋脩さん(愛知淑徳大学)
 「ホームレス問題からホーム問題への再定位:〈ホーム・イデオロギー〉の相対化と新たな出会いの場の構築を目指して」

◆発表要旨

山本文子さん(三重大学ほか非常勤講師)
 「「ミャンマー」を想像/創造する――アウンサン将軍の伝記映画製作の事例から」

 本報告では、ミャンマーで現在製作中のアウンサン将軍伝記映画の事例から、国家としての「ミャンマー」がどのように想像/創造されるのかを考察する。アウンサンスーチーの父親であるアウンサン将軍は独立の立役者であり、現在でも国民の間で絶大な人気を誇る。国家をあげたこのプロジェクトは2012年にアウンサン将軍生誕100周年である2015年の公開を目指して始まったが、様々な困難が重なり未だに映画は完成していない。またこの映画製作にかんしては、アウンサン将軍役を決める一般オーディションの様子が報道されるなど、既存のメディアもともに「ミャンマー」の想像/創造に参与している様子が伺われる。本報告ではメディアでの報道資料をもとに、アウンサン将軍の伝記映画の製作過程や報道のされ方を整理し、そのうえでこの映画の製作をとおしてどのように「ミャンマー」が想像/創造されるのかを考えたい。

二文字屋脩さん(愛知淑徳大学)
 「ホームレス問題からホーム問題への再定位:〈ホーム・イデオロギー〉の相対化と新たな出会いの場の構築を目指して」

 「近くて遠い隣人」として都市部に存在するホームレス。「無力な弱者」として語られがちな彼らを人類学的視点から照射することでどのような問題の再定位が可能なのか。 本発表では、発表者が早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)で立ち上げたボランティアプロジェクト「トーキョー・サバイバー」の活動を出発点に、ホームレスをめぐるこれまでの表象を相対化しつつ、三者構造の差別、アナキズム、コモンの三つをキーワードに、ホームレス問題をホーム問題として再定位することの可能性とその公共性について議論する。とくに本発表では、ホームレス問題を差別問題として位置づけるとともに、差別の元凶とも言うべき〈ホーム・イデオロギー〉を当事者の語りから相対化し、ホームレス問題をホーム問題として捉えなおすことで、社会問題に対する人類学の可能性について検討したい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/08/23

210911 中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)を2021年9月11日(土)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年 9月11日(土)13:00~16:15

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
 参加希望者は9月10日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム
  https://forms.gle/ZrygtYM4juZmQovh7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶

13:05~14:35 松本卓也さん(信州大学)
 「排泄の自然誌を編む:野生チンパンジーの排泄行動データの予備分析」  

14:45~16:15 丹羽充さん(一橋大学大学院社会学研究科特別研究員)
 「ネパールにおける世俗主義とヒンドゥー・ナショナリズム-世界ヒンドゥー連盟を事例として」

◆発表要旨

松本卓也さん(信州大学)
「排泄の自然誌を編む:野生チンパンジーの排泄行動データの予備分析」
 発表者は、これまでのべ3年近くタンザニア連合共和国・マハレ山塊国立公園に滞在し、野生チンパンジーの研究を継続してきた。本発表ではまず、自己紹介に代えてこれまでの研究の概要(幼年個体の採食行動など)をお話ししたい。次に、新型コロナウィルスの世界的流行の直前まで収集していた、チンパンジーの排泄行動に関するデータの予備分析結果について発表したい。排泄行動を中心に観察を続けていると、ある程度チンパンジーの排泄を予見できるようになる。「あっ、する」とわかるのである。そのヒントとなるのは、(1) 時間間隔、(2) 姿勢、(3) 行動の文脈である。これらのチンパンジーの排泄行動の傾向と特徴を、量的・質的データで示すことを本発表の目的としたい。 また、発表者が今年度の4月に着任した信州大学には、ニホンカモシカから水生昆虫に至るまで霊長類以外の動物の専門家も多数在籍しており、より幅広い生物種の排泄について議論を深めたいと考えている。中部人類学談話会の参加者の方々からも、研究の過程で得られた排泄にまつわるエピソード等をぜひお聞かせいただきたい。

丹羽充さん(一橋大学大学院社会学研究科特別研究員)
「ネパールにおける世俗主義とヒンドゥー・ナショナリズム-世界ヒンドゥー連盟を事例として」
 世界唯一のヒンドゥー王国として知られたネパールは、ネパール共産党毛沢東主義派による内戦を経て、2007年暫定憲法によって連邦民主制の世俗国家となった。以降、このことに対する反発としてヒンドゥー・ナショナリストの活動が活発化するようになっている。本発表では、ネパールにおける国家とヒンドゥー教の関係の歴史と世俗主義の導入の経緯を概観した上で、圧倒的に長い歴史と、歴代の国王との関係を有するヒンドゥー・ナショナリスト団体たる世界ヒンドゥー連盟を取り上げる。より具体的には、世界ヒンドゥー連盟の主張を検討し、それが打ち出すのが「包含的ヒンドゥー・ナショナリズム」であることを示す。その上で本発表では、世界ヒンドゥー連盟に対するさまざまな声を分析し、往々にして厳しい批判の対象とされつつも世界ヒンドゥー連盟が、宗教を超えたセミラチス状のネットワークを、たしかに構築しつつあることを浮かび上がらせる。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/05/17

210612 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2021年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第256回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
 2021年 6月12日(土)13:00~17:55

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
 参加希望者は6月11日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム
  https://forms.gle/QKkMtVuq4bu1wSTm7

◆プログラム 
13:00〜13:10 開会の挨拶

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院国際文化研究科)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」
  (提出先:南山大学大学院国際地域文化研究科)

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」
  (提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」
  (提出先:名古屋大学大学院文学研究科)

◆発表要旨

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」

【要旨】
 日中両国は隣国であり、二千年にわたる歴史の中で様々な交流がある。「七夕漢詩」はその代表的な一例である。古来、中国古典文学の主流であり、日本人にも愛される漢詩は、文学史における重要な存在である。しかし、先行研究では、七夕の起源や日本への伝来および定着の過程については検討されているが、文学の方面、特に両国の七夕漢詩については、十分に論じられていないと見られる。
現存する日中両国の多くの漢詩は、文学作品としての価値があるだけでなく、両国の歴史上の生活、社会、思想の変化を示すよい素材でもある。本稿は中国と日本の七夕に関する漢詩の分析・比較を行った。その結果、時代の変遷より、両国の七夕文化も、漢詩もそれぞれ異なる特徴を持ってきたことが明らかになった。同時に、思想・審美、理想的な社会への憧れ及び宗教に対する態度などの変化、両国の七夕漢詩の中にもれなく反映されていることが分かった。

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」

【要旨】
 本研究は、英国に存続する民俗フットボールについて、その実態及び特徴を整理し、それらが存続してきたなかで見られるゲームの変容やその社会的背景について明らかにする。その上で、民俗フットボールの現代的意義を検討し、その教育還元の可能性について言及することを目的とする。まず、民俗フットボールの多様性が確認され、民俗フットボールが近代スポーツの前史のゲームとしてこれまで位置づけられてきたことについて、それらは並立・並存するものとして捉えるという新たな知見を得ることができた。また、民俗フットボールの姿を、Kirkwallを事例にして民族誌的に整理することで、その変容・存続の様子から、コミュニティを統合する契機となるように住民たちが主体者となって働きかけるという社会的機能の内実を示すことができた。さらには、近代スポーツがルールによってその厳格化を図るのとは異なり、民俗フットボールでは暴力性がゲームを成立させ、また楽しみを保障する大切な要素となることも明らかになった。以上のような考察をもとに導き出される民俗フットボールの文化的意義、社会的意義をもとに教育還元の可能性も見出すことができた。

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」

【要旨】
 本論文は、現代日本で政策的に活用され、近年ロビー団体により文化財保護法への明文化が目指されている古武道という武術のジャンルを、伝承という観点から論じたものである。世代を越えて受け継がれるものとされる伝承を追究するために、本論文では現代の古武道に対する体験的調査と、過去の武芸に関する未公刊史料の調査踏まえ、古武道の伝承について、その伝承のありようと、伝承の継続・同一性の実態、そして伝承から伝統が構築される契機、の3点を分析した。分析結果からは、古武道の伝承とは行伝・書伝・口伝という三伝から構成されるもので、その身体技法には物質的側面が必須であり、それらの特徴は歴史的に一貫して不変に見えるものの実際は変化・変容してきたものであって、さらにその伝統は、急激な社会変化を契機として構築されたものであることが明確化した。そして、このような古武道の伝承が、実践・身体技法・実践共同体・文化における“消化”と“モデルチェンジ”・文化のナショナリズムといった文化人類学的視座からとらえることができる点を主張した。

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」

【要旨】
 本論文は、病院出産が当たり前となっている都市部における出産に関わる習俗と儀礼の現状と変化を詳細に検討するために、初めて事例研究として愛知県名古屋市の事例を取り上げ、安産祈願の実践内容、とくに腹帯祝いの習慣、安産祈願と社寺の関係、里帰り出産の慣行、出産をめぐる禁忌、出産と「穢れ」観、出産と産育に関する知識の入手先、といった項目の調査研究をつうじて、日本の出産と産育に関わる習俗と儀礼の研究に新たな資料と知見をもたらすことを目的とする。調査研究の手法としては、聞き取り調査、直接観察、質問票を用いた調査を併用した。研究の結果として、筆者は時代の変化とともに病院出産が一般的となった今でも従来どおり、女性が妊娠すると胎児の安産を願って妊娠の五ヶ月目頃、縁起の良い日とされる「戌の日」に社寺に参拝し、お腹に腹帯を締める習俗が継承されている。しかし、現代の妊婦にとってそれらの儀礼の意味内容は、主に現代医療の知識の観点から重視されるものとなっていることを指摘した。

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学大学院人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」

【要旨】
 本論文は、クラシック音楽愛好家たちのあいだでさほど注目を集めていなかったグスタフ・マーラーとその楽曲が、1970年代以降に演奏回数が急激に増加し、1980年以降にブームを迎えた事実に注目し、その要因を「新たな聴衆層の誕生」という観点から読み解こうとしたものである。具体的には、(1)マーラーが普及する環境条件の整備、(2)聴衆と音楽の聴き方の変化、(3)音楽関連メディアの活動とその役割、の3つの視点から資料の提示と考察をおこなった。
 本論文はマーラーブームの要因を次のように結論づけた。1970年代以降、社会状況の変化とともにクラシック音楽愛好家の嗜好も変化し、それまで主流とされてきたベートーヴェンの克己型、課題解決型の音楽を正しく聴取し理解することで自己を高めるという聴き方ではなく、個人の内面と向き合い、癒しを求めるような聴き方に変貌した。他方で、こうした音楽の聴き方は従来のクラシック音楽愛好家以外の層にも普及した。このグループは出身階級に拠らない愛好家集団であり、それまでのベートーヴェンを代表とするクラシック音楽愛好家層とは明らかに異なる、新たな「界」ということができる。
 そして、CDやステレオセット、FMエアチェックなどの普及が、かつてないほどの高音質によるマーラー聴取を可能にした。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
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中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2020/08/09

200913 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2020年度中部地区博士論文・修士論文合同発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第254回例会)
博士論文・修士論文合同発表会

◆日時

2020年 9月13日(日)13:00~17:45

◆オンライン開催

Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
参加希望者は9月11日(金)18時までにこちらよりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

◆プログラム

《修士論文の部》
13:00–13:30
朴根模(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)
「在日コリアン社会の食文化変容に関する人類学的考察 —大阪市猪飼野・生野地域を事例に—」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

13:30–14:00
福田薫(愛知県立大学国際文化研究科博士後期課程)
「スピリチュアリティに関する宗教学的考察 —南インドのオーロビルを事例として—」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

14:00–14:30
伊藤紫
「地域社会に根ざす手織物 —八重山地域 小浜の事例—」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

14:30–15:00
片山詩音
「胡弓の事例研究に基づく音色の分析と芸能史構築の発展性に関する考察」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

15:00–15:30
高田祐磨(南山大学大学院博士前期課程研修生)
「テオティワカン土器の分析と考察 —「月のピラミッド」出土の土器群を対象に—」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

(15:30-15:45 休憩)

《博士論文の部》
15:45–16:45
加藤英明(南山大学人類学研究所非常勤研究員)
「「単品モノ」をつくる町工場の民族誌 ―西三河地区における自動車生産ラインの裏側で―」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

16:45–17:45
日丸美彦(愛知県立大学多文化共生研究所)
「文化の教育資源化と教育資本 ―フィリピン・ルソン島北部山岳地域ハパオ村での収穫儀礼の復活と教育演劇の実践―」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

 

◆発表要旨

《修士論文の部》

13:00–13:30
朴根模(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)
「在日コリアン社会の食文化変容に関する人類学的考察:大阪市猪飼野・生野地域を事例に」
【要旨】
大阪市猪飼野・生野は戦前から現在に至るまで、日本最大規模のコリアンタウンである。本発表では、戦前から現在に至るまでの同地域の在日コリアンの食文化変容を対象とする。在日コリアンが日本社会と衝突し、融合していく過程の中で行われたネゴシエーションという観点から、以下二点に注目して議論を行う。
一つは、在日コリアンの食文化の歴史的変遷に注目することである。そのために、①在日コリアンの経済環境など在日コリアンを取り巻く社会環境とその変化、および②来日時期の違いや帰化、結婚による立場と国籍の変化といった在日コリアン社会内部の多様化を、在日コリアンの食文化の形成と変化に影響を与える要素として取り上げる。
もう一点は、在日コリアンの食文化の継承、すなわち文化の再生産に注目することである。移住集団は、母国と異なるホスト社会の環境・社会・文化などのなかで、母国での食文化をそのまま維持することは困難である。しかしながら、移住集団は妥協による食文化の変化を受け入れながらも、他方ではエスニックタウンや各家庭レベルで自分たちの食文化を維持し継承する傾向がある。
このことから、猪飼野・生野の在日コリアンの食文化変容は、日本と韓国という文化的境界が混ざりあった結果であり、こうしたなかで生じる文化的ネゴシエーションを通じて、文化の混種性が現れるという論点を提示する。

13:30–14:00
福田薫(愛知県立大学国際文化研究科博士後期課程)
「スピリチュアリティに関する宗教学的考察:南インドのオーロビルを事例として」
【要旨】
本論は、インドに所在する目的共同体、オーロビルにおけるスピリチュアリティの在り様、宗教とはどういう関係性にあるのか、を明らかにすることを試みるものである。そのための手がかりとして同共同体で観察される「宗教性」、つまり宗教的象徴やオーロビル居住者の宗教的体験、そして「個人性」に注目した。「スピリチュアルであるが宗教的ではない」と謳うオーロビルのスピリチュアリティをめぐっては、同共同体の思想的支柱である二人の中心的存在、オーロビンドとマザーの間の「宗教とスピリチュアリティの区別」に関する差異から生じる矛盾があること、創立者であるマザーの影響をより大きく受けているオーロビルではそもそも「スピリチュアリティ」以外の在り様が許されていないこと、「宗教」を否定し忌避するオーロビルの中にも宗教的象徴に満ちた事物や宗教的体験の語りが見られ、スピリチュアリティと重なって併存・共存していることを指摘し、結論とした。

14:00–14:30
伊藤紫
「地域社会に根ざす手織物 ―八重山地域 小浜の事例―」
【要旨】
沖縄県八重山地域では、織物の多様な担い手が活動している。特に小浜島では、年中行事で適切な種類の手織りの着物を着ることが規範となっていると、先行研究で指摘されてきた。そこで、本論では、現代の地域社会において、この規範が共有・再生産される過程と、織物生産が作り手にもつ意味を考察した。
行事の観察と作り手のインタビューから織物の生産・使用の両場面を検討した結果、小浜の織物が、作り手・使い手の意識と実践において、義務的性質と趣味的性質を併せもち、その両面を集落内の相互評価に覆われていることが分かった。また、小浜の織物は集落の暮らしに根ざしているが、それと同時に、集落共同体の存続に織物が貢献していることが指摘できた。加えて、小浜の織物生産・使用は、八重山地域の織物の他の担い手の活動や行政施策とは異なる文脈にありつつも、それらと部分的に関係性をもち、ときに支えられていることを示した。

14:30–15:00
片山詩音
「胡弓の事例研究に基づく音色の分析と芸能史構築の発展性に関する考察」
【要旨】
本発表では、日本の伝統的な擦弦楽器である胡弓を主題とした修士論文の内容を紹介するとともに、この調査研究の内容に関連して、その後の社会人生活の過程で得られた知見をふまえ、博士後期課程以降における調査研究の内容と課題についても言及したい。
修士論文では、実際に演奏される場として、富山県民謡「越中おわら節」を事例に楽器の音色上の特性を対象とした。研究方法として、フィールドワーク及び聞き取り調査に基づき、演唱者が解釈する音色に対する語りを収集した。また、音楽的な図式として演唱の基本形を抽出するため楽譜化を試み、全体的な楽曲の構造を分析を実施した。語りと採譜の相互補完により、胡弓の位置づけや演唱への当事者意識・評価と、実際の音との比較から表象される音色の特性ついてより詳細な考察を試みた。
今後は、胡弓を用いる花街にも調査研究の対象範囲を広げ、楽器としての胡弓に引き続き着目しつつ、花街の芸能形態、音楽性における特徴を明らかにするとともに、花街の芸能と音楽を日本の芸能史の中に位置づけていくことを今後の課題とする。

15:00–15:30
高田祐磨(南山大学大学院 博士前期課程研修生)
「テオティワカン土器の分析と考察 ~「月のピラミッド」出土の土器群を対象に~」
【要旨】
昨年度1月に提出した修士論文は、古代メソアメリカ文明の都市テオティワカンから出土する土器について、充分に研究が進展していない都市形成期の状況などについて、とりわけ土器研究に着目して分析・報告を行ったものである。
現在、テオティワカンの都市形成期の土器の先行研究はわずかであり、その比較研究に乏しい。このような状況において、同遺跡のモニュメントである「月のピラミッド」は、この都市の起源研究・土器研究において重要な土器資料を提示している。このことを踏まえ、「月のピラミッド」出土の土器を対象に数量分析を行い、テオティワカン土器研究及び起源研究に貢献するようなデータの提示を通じて、これらの研究において未解明とされている問題点に関連して二つの設問を設定し、それにどのような解答ができるかを検証した。
分析の結果として、本論文は設定した二つの設問に適切な解答をすることができたと考える。しかし課題点もいくつかあり、それを踏まえつつ今後は「月のピラミッド」の層位ごとの土器の構成比に着目してそれぞれの層位での土器の諸型式の出土比率から、テオティワカンの土器文化について考察したい。

(15:30-15:45 休憩)

《博士論文の部》

15:45–16:45
加藤英明(南山大学人類学研究所非常勤研究員)
「「単品モノ」をつくる町工場の民族誌 ―西三河地区における自動車生産ラインの裏側で―」
【要旨】
本発表は、愛知県西三河地区の「単品モノ」の町工場の事例から、現代の工業社会に展開するモノづくりのありかたを考察するものである。「単品モノ」の町工場は、1回の発注個数が少量で素材や形態が毎回異なる設備部品や試作部品(=「単品モノ」)を製作する小規模工場であり、トヨタ関連工場の生産ラインの裏側で量産システムの維持に関わり存立している。しかし、従来のトヨタをめぐる研究では「単品モノ」の町工場の存在が看過されてきた。そのため、その実態を民族誌的記述でもって明らかにし、同時に人類学で研究蓄積の少ない現代の工業社会のモノづくり研究に寄与する。具体的には、「トヨタ生産システム」を概観し、「単品モノ」の町工場1社を中心に、その製作ネットワーク、仕事場のレイアウトの変遷、製作工程などを主たる事例として示す。そして、「単品モノ」の製作が「単品製作ブリコラージュ」というべき特徴をもち、なおかつ「トヨタ生産システム」と共進化し発展したことを指摘する。

16:45–17:45
日丸美彦(愛知県立大学多文化共生研究所)
「文化の教育資源化と教育資本―フィリピン・ルソン島北部山岳地域ハパオ村での収穫儀礼の復活と教育演劇の実践―」
【要旨】
本論では、ルソン島北部イフガオ州ハパオ村の収穫儀礼 綱引きプンノックの復活の事例と、イフガオ州の高校教師を対象とした聞き書き演劇ワークショップの事例を文化の教育資源化として捉え、身体を通じた伝統的知識の継承が、世界文化遺産である棚田の持続可能性に寄与する資源化になるのか、また持続可能性を構築する資本形成につながるかを示す。1995年にユネスコ世界文化遺産に登録されたコーディリエラ棚田群は、ルソン島北部山岳地域のイフガオ州に広がり、伝統的農耕儀礼社会が形成されてきた。しかし、近年のグローバル経済の急速な浸透により若者の海外への出稼ぎや都市部への流出などにより、伝統的農耕儀礼社会は変容を余儀なくさている。そうした中での収穫儀礼プンノックの復活と、農村の日々の暮らしを対象とする聞き書き演劇の事例を取り上げ、相互の関係性を明らかにし、地域の持続可能性に寄与する文化の教育資源化と教育資本とは何かを提示する。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部国際英語学科津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2019/05/16

190615 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、中部地区博士論文・修士論文合同発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第249回例会)
博士論文・修士論文合同発表会

◆日時
 2019年 6月15日(土)14:00~17:45

◆会場
 南山大学Q棟Q103

◆アクセス
 地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
  アクセスマップhttp://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html
  キャンパスマップhttps://www.nanzan-u.ac.jp/CMAP/nagoya/campus-nago.html

◆プログラム 

《修士論文の部》
14:00-14:30
丹羽悦子(南山大学大学院人間文化研究科・博士前期課程研修生)
「テチナンティトラ壁画「4方位に花弁を開く花」の図像解釈―植物学から読み取る暦の文字とは―」
  (提出先:愛知県立大学大学院国際文化研究科)

14:30-15:00
吉村宥希(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「仮面と仮面制作者の関係性に関する研究」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

15:00-15:30
愛葉由依(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「ヒバクシャを生きる人々」
  (提出先:名古屋大学大学院文学研究科)

(15:30-15:45 休憩)

15:45-16:15
木戸志緒子(愛知県立大学大学院国際文化研究科・博士後期課程)
「異文化間教育の視点から見たホームステイプログラムのあり方―寮生活を送る留学生の週末滞在に着目して―」
  (提出先:愛知県立大学大学院国際文化研究科)

16:15-16:45
李易宣(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「雲南省の高等教育機関における非専攻日本語教育を受ける学習者の学習ニーズ分析―大理学院の実態調査を例として―」
  (提出先:名古屋外国語大学大学院)

《博士論文の部》

16:45-17:45
賽漢花(愛知県立大学・客員共同研究員)
「学校統合に伴うモンゴル民族教育の変容―中国内モンゴル自治区赤峰市を中心に―」
  (提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

*終了後、周辺にて懇親会の予定

◆発表要旨

《修士論文の部》
丹羽悦子(南山大学大学院人間文化研究科・博士前期課程研修生)
「テチナンティトラ壁画「4方位に花弁を開く花」の図像解釈―植物学から読み取る暦の文字とは―」
 (提出先:愛知県立大学大学院国際文化研究科)
《要旨》メキシコの古代都市テオティワカンで発見されたテチナンティトラ壁画「羽毛のヘビと花咲く木」には、木の幹にそれぞれ異なる図像が描かれている。先行研究ではこれらの図像は9種類に分類され、植物名、土地名、リネージ、または紋章と解釈され、一部は暦のサインの可能性もあると指摘されてきた。
 本稿では植物学の知見を取り入れ再考を行った結果、図像は10種類であり、「4方位に花弁を開く花」を伴う図像については、神聖暦の記号のうち6種類との共通要素が明確になった。また象形を組み合わせて描かれた図像は植物名だけでなく、会意表現で自然界における「発芽、成長、開花、枯死、再生」、および社会における「創世神話、生贄、降雨祈願」という摂理と因果関係の隠喩が可能な書記法であるとの解釈に至った。よって当時のポリグロット社会において口承で伝達することができ、かつ、壁画による公開で世界観の教育、共有、拡散、強化にもつながるのでなはいかと結論づけた。

吉村宥希(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「仮面と仮面制作者の関係性に関する研究」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)
《要旨》本研究の目的は、日本の能面・狂言面の制作過程に対する参与観察に基づき、素材からモノである仮面がどのようにして成立し、現前するようになるのか、そして制作者はどのように仮面に力を感じるようになるのかという問題について、明らかにすることにある。まず、日本における能面と狂言面の歴史について概観した後、これらの面の製作現場についての民族誌的記述を行った。また、現在に至るまでの能面・狂言面の制作者の系譜の再検討も行った。
 結果、能面・狂言面の制作を取り巻く諸環境の変化に伴う精神的意義の希薄化と、「教室」という新たな伝承形式の台頭が確認された。また、面の制作についての語りと実践の検討も行い、模倣概念である「写し」の捉え方、面に対する「生き死に」の表現、「生業」として制作を行っている人物の制作観を描き出した。結論として、能面・狂言面制作の過程は制作に先立って存在する「力」を新たな「力」へと変換することを意味しており、同時に既存の古作の絶対性を強める働きも為していることを示した。

愛葉由依(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「ヒバクシャを生きる人々」
(提出先:名古屋大学大学院文学研究科)
《要旨》修士論文では、スティグマともなり得る被爆者表象を改めて問い直し、当事者が既存の被爆者像に対して構築するそれぞれの自己イメージや生き方を捉え直すことを目的とした。愛知県の被爆者団体に所属する9名を対象に、複数回聞き取りを行い、スティグマとなりえた経験や自己イメージの構築に関わる事柄を収集した。その結果、命に関わる不安や恐怖と結びついたり、かわいそうな被害者とされたり、家族にまでも否定的な影響が及ぶと考えられたりするとき等にスティグマとなり得ることが明らかになった。
 先行研究が、他者や死者の存在を必要不可欠とし、受動的で抑圧された被爆者像を構築する傾向にあった一方、本研究からは、70年の時の経過や核・被爆に関する社会の動向と相まって、負のイメージを付与する既存の被爆者像を打ち破り、必ずしも受け身ではなく、自身の体験に自分なりの意味付けを行い、能動的な生き方や自己イメージを構築していることも明らかになった。

木戸志緒子(愛知県立大学大学院国際文化研究科・博士後期課程)
「異文化間教育の視点から見たホームステイプログラムのあり方―寮生活を送る留学生の週末滞在に着目して―」
(提出先:愛知県立大学大学院国際文化研究科)
《要旨》ホームステイは、国際交流として様々な形で実施されている。しかし、このような異文化理解と銘打った国際交流プログラムでは、概して楽しさという一時的な結果が注目され、「その場限りの国際交流」、「安易な異文化理解」に終わっているという指摘があり、ホームステイの内実については検証が十分されていない。
 本論では、寮生活を送る留学生が週末滞在するホームステイに着目し、留学生が参加する目的、また、コーディネーター、学校、受入れ家庭など多様な関係者の認識を分析した。その結果、留学生は新しい人間関係の構築、寮と学校とは異なる異文化接触、精神的支援をホームステイに求めていた。また、学校と地域において異文化交流に対する認識の乖離や情報、連携の不足が見られ、異文化間教育としてホームステイが十分活用されていないことが明らかになり、留学生のために身近な内容をつなぎ、人をつないでいくマネジメントが重要であると結論づけた。

李易宣(名古屋大学大学院人文学研究科・博士後期課程)
「雲南省の高等教育機関における非専攻日本語教育を受ける学習者の学習ニーズ分析―大理学院の実態調査を例として―」
(提出先:名古屋外国語大学大学院)
《要旨》近年、雲南省の大学における非専攻日本語教育を受ける学習者の増加と共に、学習ニーズも多様化されている。一方、コースに使うカリキュラムは昔のままであり、時代の変化に応じた新しい学習ニーズを満たすことはいまだ期待できない。受講者が満足する語学コースを作るためには、適切なニーズ分析が欠かせない。ニーズ分析は、教師が授業の見直しをするとともに、学習環境を見直す手段としても役に立つと考えられる。
 しかし、雲南省では、非専攻日本語学習者の学習ニーズに対する研究が少なく、大学側による把握もまだ不十分である。そこで本研究では、非専攻日本語学習者の学習ニーズの全体像を明らかにすることを目的とする。具体的には、学習者、大学と教師、雇用企業への学習ニーズに対する調査を行い、ニーズ分析を通して雲南省の非専攻日本語教育の問題点と改善策を考案する。また、今後の日本語コースにおける教育の改善に向けた提案も試みる。

《博士論文の部》
賽漢花(愛知県立大学・客員共同研究員)
「学校統合に伴うモンゴル民族教育の変容―中国内モンゴル自治区赤峰市を中心に―」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)
《要旨》中国の全国範囲で実施された学校統合政策は、モンゴル民族教育の発展に大きな影響を与えた。本研究は、実際に内モンゴル自治区赤峰市において実施されたモンゴル民族学校の統合の実態と学校統合が民族教育に及ぼした影響の現実を分析したものである。
本研究の目的は、中国内モンゴル自治区における学校統合に伴う民族教育の変容を明らかにし、その変化が民族教育に対してどのような影響をもたらしたかについて、現地調査に基づき考察することである。研究方法は現地調査である。牧畜地域、農耕地域、都市部という3つの地域の民族学校を比較し、学校統合に伴う影響を分析した。
 現地調査の結果、民族文化や民族教育を振興するという国家政策の下で実施された学校統合が、その目的とは逆の効果をもたらしているという現実が明らかとなった。民族文化や民族教育を振興する教育政策は、牧畜地域、農耕地域、都市部など地域の多様性や歴史的背景を丁寧にふまえる必要があるということが、本研究が示唆するところである。

◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部国際英語学科津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 藤川美代子(南山大学)、津村文彦(名城大学)

2019/03/12

190318名古屋大学でのシンポジウムのお知らせ(中部人類学談話会共催)

みなさま
3月18日(月)に、中部人類学談話会との共催で、下記のシンポジウムが開催されます。以下にメールを転送させていただきます。
どうかふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。
———————————————-
皆さま
3月18日(月)に名古屋大学で開催されますシンポジウムのお知らせをさせていただきます。
本シンポジウムは、「移動と共生」をテーマとした学際的共同研究の一環で、近年宇宙人類学の分野を開拓しておられる京都大学の木村大治先生と、認知考古学がご専門の岡山大学の松本直子先生のお二人にご講演いただきます。コメンテーターは、科学哲学がご専門の戸田山和久先生です。
どなたでも自由に参加できるオープンなシンポジウムです。事前の手続は必要ありません。どうぞ皆さまのご来場をお待ちしております。
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シンポジウム「移動と共生 ~先史時代から近未来宇宙まで~」
趣旨
グローバルな政治経済システムのなかで、人の移動・越境・流動化が日常的になっている現在、かつては出会うこともなかったような他者と出会う機会は格段に増え、「多文化共生」という言葉がますます身近になっている。しかし、「共生」という言葉は目指すべき理念や倫理として提示されることが多い一方、実にさまざまな対象に対して様々なレベルで用いられており、どのような関係・状態を指して共生と呼ぶのか明らかとはいいがたい。本シンポジウムでは、現代社会における共生のあり方を考えるヒントとして、(普遍的倫理ではなく)様々な時代や地域における多様な「共生の文化」に学ぶことを目的としている。考古学・人類学・科学哲学といった異なるフィールドから、移動と共生を考える。
日時:2019年3月18日(月)13:00-17:00
会場:名古屋大学アジア法交流館2階アジアコミュニティーフォーラム
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
先着順 申し込み不要 無料
プログラム
13:00-13:20  趣旨説明
13:20-14:35 発表① 松本 直子「共生の考古学―異文化接触と文化の生成―」
14:35-14:50  休憩
14:50-16:05  発表② 木村 大治「共生と共在:トムとジェリーはなぜ仲良く喧嘩できるのか」
16:05-16:45  コメンテーター・戸田山 和久(名古屋大学教授)のコメント・討論
【要旨】
「共生の考古学―異文化接触と文化の生成―」松本 直子・岡山大学教授
2006年に大阪で開催された世界考古学会議中間会議のテーマは「共生の考古学」であった。文化や伝統、アイデンティティを異にする人々がいかに共生してきたかと考えるとともに、過去の文化遺産と現代社会に住む私たちがいかに共生し、未来に残していくか、という視点も含めて活発な議論がなされた。文化の共生、異文化接触、文化の生成という問題について、考古学は近代国家の影響を受けない集団間関係や文化の動態について長期的な視座で検討することができるという特性がある。そこから見えてくる共生の在り方について、日本列島の事例に触れつつ紹介したい。
「共生と共在:トムとジェリーはなぜ仲良く喧嘩できるのか」木村 大治・京都大学教授
私は2003年に「共在感覚」という本を書き,アフリカの農耕民ボンガンドと狩猟採集民バカ・ピグミーの相互行為のありさまを分析した。本発表では,そこで用いた「共在co-presence」という用語と,本シンポジウムのテーマである「共生co-existence」とを対比しつつ議論を進めてみたい。「共生」にはつねに,それがある種の「良きこと」であり「望ましいもの」であるといった感覚が付随しているように思われる。それに対して「共在」は,(書いた本人のつもりしては)「無視する」とか「争う」といった状態をも含む,より中性的なものである。発表ではこの違いについて,上記のボンガンドとバカの事例を含むいくつかのエスノグラフィー,SFにおける異星人とのファースト・コンタクトの例,さらに副題に記した「トムとジェリー」の話などを参照しつつ考察する。
【主催】名古屋大学人文学研究科
【共催】名古屋大学高等研究院
  中部人類学談話会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)
【支援】平成 30 年度名古屋大学人文学研究科プロジェクト経費共同研究「移動と共生のグローバルスタディーズ」
【問合せ先】horie@lit.nagoya-u.ac.jp(堀江未央)または ichiaki5@lit.nagoya-u.ac.jp(市川彰)
——————————————————————
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)

2019/02/07

中部人類学談話会第247回例会のお知らせ(190223)

中部人類学談話会第247回例会が、下記の要領で開催されます。

みなさまふるってご参加くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆中部人類学談話会第247回例会◆

日時:2019年 2月 23日(土)13:30~16:50
会場:南山大学R棟 R56教室
*交通アクセス
地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

【プログラム】
13:30~14:30 発表① 深田淳太郎氏(三重大学人文学部)
「不在の死者と骨のあいだ:ソロモン諸島・ガダルカナル島における遺骨収容活動を事例に」

14:30~14:45 コメント 後藤明氏(南山大学人文学部)

14:45~15:05 質疑応答

15:05~15:15 休憩

15:15~16:15 発表② 張玉玲氏(南山大学外国語学部)
「日本における福建出身華人の移住・定住戦略:家族誌というアプローチから」

16:15~16:30 コメント 沼崎一郎氏(東北大学文学部)

16:30~16:50 質疑応答

備考:終了後、近隣にて懇親会

【発表要旨①】深田淳太郎氏
第二次大戦において海外で戦没した日本人は240万人にのぼる。戦後、実施された遺骨収容事業によって帰還したのは、2013年時点でおよそ半分の128万柱で、残りの112万柱は海外に残されたままである。本発表で考察するのは、この遺骨収容活動において、海外に置き去りにされた骨と、戦争で亡くなった死者、そして日本に残された遺族(生者)の間の関係である。この三者は、何によって、どのように関係づけられ、またその関係の中でそれぞれがどのように意味づけられるのか。そして、その関係・意味づけは、戦後七十年のあいだにいかに変容し、さらに現在どう変わりつつあるのだろうか。この問題について、あるボランティアグループがソロモン諸島・ガダルカナル島で行なっている遺骨収容活動を事例に考えてみたい。

【発表要旨②】張玉玲氏
日本国籍取得者や不法滞在者なども含めて100万人を超えたとされる在日華人社会は、今や日本最大のエスニック集団となっている。これらの華人の多くは1980年代以降中国の大陸から新たに来日した「新華僑(華人)」であり、出国の時期や動機および来日ルートなど、日中国交回復以前から移住・定住したいわゆる「老華僑(華人)」と大きく異なるため、両者は往々に別の枠組みで議論されることが多く、新、老華僑(華人)はまるで関係のない二つのコミュニティのように扱われてきた。
本報告では、ともに新老華僑(華人)のなかで大部分を占める福建出身者に焦点を当てる。個々人の移住を、その「故郷(母村)」を原点とする家族(一族)の移住・定住の歴史の枠で捉えなおし、新華僑(華人)による、血縁・地縁に基づく伝統的な「連鎖移住」のパターンの活用や老華人を介した積極的なネットワーク構築など、新華人の移住・定住戦略をよりミクロな視点から析出する。

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問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)