2023/01/17

230223中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)を2023年2月23日(木・祝)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。

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中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2023年2月23日(木・祝) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施
・会場:中京大学名古屋キャンパス 0号館(センタービル)2階ヤマテホール
 交通アクセス(地下鉄鶴舞線・名城線「八事」駅5番出口すぐ)
 https://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html

・Zoom(申込締切:2月21日 15:00
 > 申込フォーム(https://forms.gle/8MGQ1GuTCrQGgBNR7)

*対面参加かオンライン参加かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします
*参加の形式は当日変更してもかまいません。申し込みなしで対面参加していただいてもかまいません。
*Zoom情報は前々日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 
13:35~15:05 中野歩美(中京大学)
「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」
15:20~16:50 田森雅一(愛知大学)
「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

◆発表要旨

・中野歩美「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」

本発表では、北西インド・ラージャスターン州のタール砂漠地域で移動民として知られてきたジョーギーの定住後の住居の様式とそこでの住まい方について検討する。ジョーギーは現地の人びとの間で、呪術的・宗教的な力を有すると同時に、不潔で貧しい物乞いとして差別されるような〈聖〉かつ〈賤〉の両義性を備えた物乞いの移動民として知られてきた。しかし政府による近代化政策が進むなかで、40年ほど前から野営生活をやめて村の端に定住する者が現れ始め、現在では大半が定住的な生活拠点を持つようになっている。

本発表ではこうした背景を踏まえて、現在彼らがどのような住居のもとで、どのような住まい方をしているのかを事例をもとに考察する。それを通じて、一見すると村の定住民と変わらない暮らしを送るようになったジョーギーが、実際には絶えず即興的な住居空間を創発し続けていることを明らかにし、野営という生活様式と結びついた住まい方の技法として提示する。

・田森雅一「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

インド北西部に位置し、パキスタンと国境を接するラージャスターン州は「ジプシー(ロマ)」の原郷の一つとされ、音楽芸能にたずさわるさまざまなコミュニティに属する人々が暮らす乾いた大地である。彼らは、村落内外における伝統的社会関係の中で、ジャジマーンと呼ばれるパトロンのための音楽演奏や系譜語りなどを生業としてきた。しかしながら、インド独立後の社会経済的環境変化のなかでパトロンとの紐帯が失われ、海外での音楽活動に活路を見いだそうとする者たちが現れるようになった。このような動向は、1990年代のインド経済の自由化と地球規模のグローバル化の流れの中で顕著になり、彼らの海外における音楽活動の成功とそれによる社会経済的な影響力は、巡りめぐってローカルな社会やコミュニティの秩序に変化を与える要因の一つになっている。

本発表では、一年の大半をフランスなどの海外で暮らすラージャスターン出身のムスリム世襲楽士カーストのローカル・ヒストリーと、グローバル化の中で再帰的に問い直される集合的アイデンティティや社会規範などについて、ライフ・ポリティクスの視点から検討してみたい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事:湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長:渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局:深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

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2023/01/12

中部大学 人間力創成教育院シンポジウム 第1回 「中部大学のフィールド科学:愛知、中国、中央アジア、西アジア、アフリカ」のご案内

中部大学より下記シンポジウムの情報をご提供いただきましたので、ご紹介します。

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中部大学 人間力創成教育院シンポジウム

第1回 「中部大学のフィールド科学:愛知、中国、中央アジア、西アジア、アフリカ」


この度、国内外でフィールドワークを行って活躍する中部大学の教員がどのような活動をしているのか、その魅力、苦労、展望などをご紹介します。中部大学の学生、教職員、ならびに一般の方にオープンなシンポジウムです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*オンライン同時開催(Zoom)いたしますので、Zoom参加ご希望の方は、記載のURLから事前登録をお願いします。


     記

主催:中部大学人間力創成教育院
後援:中部大学教養課題教育プログラム(人文・社会リテラシー)
日程:2023年1月21日(土)13時00分~17時00分
会場:中部大学春日井キャンパス
不言実行館1F アクティブホール
オンライン同時開催(Zoom)
申込方法:当日会場参加の方は申込不要・参加自由
オンライン希望の方は 事前登録制 (1月19日15時まで)


>申し込みフォーム: 

https://docs.google.com/forms/d/12DXuzw5erTQgnCRj3UpGuzwko5IjYaAPkGJTvc0Qt3E/viewform?edit_requested=true

>案内ポスター:https://www.chubu.ac.jp/news/15184/


登壇者:
 西山伸一(人間力創成教育院・教授)、
 渡部展也(中部高等学術研究所国際GISセンター・教授)
 大橋岳(人間力創成教育院・准教授)
 和崎聖日(人文学部・准教授)
 大谷かがり(看護実習センター・助教)

対 象:学生・教職員・一般


*フォームでのお申込みに不都合がある場合は

gec@office.chubu.ac.jp

まで、氏名、所属、連絡先を添えてお申し込みください。

(ご登録いただいた方には、前日までに接続情報をメールにてお知らせいたします。)

問い合わせ先

人間力創成教育院事務室

gec@office.chubu.ac.jp

2022/10/19

221112中部人類談話会第263回例会(中部地方研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第263回例会(中部地区研究懇談会)を2022年11月12日(土)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。また懇親会へ参加希望される方は必ず事前申込をしてください。当日の飛び込み参加は受け付けません。


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中部人類学談話会第263回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年11月12日(土) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施
・会場:南山大学G棟 G26教室
 交通アクセス(地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
 http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

・Zoom(申込締切:11月11日12:00
 > 申込フォーム(https://forms.gle/J7MsLyDZvuXDzfT98)

*対面参加かオンライン参加かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします
*参加の形式は当日変更してもかまいません。申し込みなしで対面参加していただいてもかまいません。
懇親会は当日の飛び込み参加はできませんので、参加希望の方は必ずご登録ください
*Zoom情報は前日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 
13:35~15:05 杉藤重信(椙山人間学研究センター)
「学際的研究について:中部人類学談話会例会とわたし」
15:20~16:50 稲村哲也(愛知県立大学名誉教授・放送大学名誉教授)
「人類史・民族誌からの「レジリエンス」」

◆発表要旨

・杉藤重信「学際的研究について:中部人類学談話会例会とわたし」

中部人類学談話会は、1976(昭和51)年に第30回日本人類学会・日本民族学会連合大会が愛知学院大学歯学部を当番校として開催されたことを契機として、京都大学霊長類研究所に事務局をおいて発足した。第1回例会は1977(昭和52)年4月23日に瀬戸口烈司さん(当時、霊長類研究所)による「哺乳類の臼歯の起源についての最近の動向」であった。初期の記録をみると、人類進化や霊長類学、先史考古学などを始め、多様なテーマが取りあげられてきた。

わたしは、1988(昭和63)年に椙山女学園大学人間関係学部に着任した。着任前から、民博での共同研究「数理民族学」以降、文化人類学と情報科学の接点を目指す研究に力を入れるようになっていた。わたしは、2012(平成24)年春ごろまで、中部人類学談話会事務局を担当してきた。おもえば、談話会の学際性はいまさらながらに重要な意味をもっていたことに気付かされる。私自身の研究をあわせてふりかえりつつ、学際的研究の重要性について考えてみたい。

・稲村哲也「人類史・民族誌からの「レジリエンス」」

東日本大震災と福島原発事故、地球温暖化と気象災害、COVID19パンデミック(そして、ロシアによるウクライナ侵攻)と、私たちは困難な時代を生きている。 このような地球規模の課題を前にして、「私たちはどこから来たのか、私たちは 何者なのか」を知ることへの関心が高まっている。人間と社会を研究対象としてきた人類学から、現代社会に何が発信できるのだろうか。

そのような問題意識を持ち、発表者は、レジリエンス(「危機を生きぬく知」と定義)の観点から、放送大学TV科目「レジリエンスの諸相:人類史的視点からの挑戦」を2018年度に開講した(同タイトル教材、2018、奈良由美子・稲村哲也編、放送大学教育振興会刊)。また、2021年3月、『レジリエンス人類史』(稲村哲也・山極壽一・阿部健一・清水展編、京都大学学術出版会刊)を刊行した。本発表では、それらの内容に基づき、人類史・文明史を振り返ると共に、先住民社会の文化をレジリエンスの観点から考えたい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/


中部地区研究懇談会担当理事:湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長:渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局:深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/08/27

220925中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)を2022年9月25日(日)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。


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中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年9月25日(日) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施

・会場:南山大学M棟 M2教室
 交通アクセス(地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

・Zoom(申し込み締切:9月23日15:00)

 > 申込フォーム https://forms.gle/amTHaTok3YJi2pjx9

*設営のために人数を把握したいので、「対面参加」か「オンライン参加」かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします。

*どちらかを選択していただきますが、当日変更してもかまいません。またその際、連絡をしていただく必要はありません。

*Zoom情報は前日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 

13:35~15:05 彭宇潔(静岡大学)

「マルチ・コネクテッドネスと雰囲気の形成:カメルーン東南部の狩猟採集民バカの音声的な相互行為に着目して」

15:20~16:50 廣田緑(国際ファッション専門職大学)

「アーティスト・コレクティヴの協働実践~GUDSKULの事例から~」

◆発表要旨

・彭宇潔「マルチ・コネクテッドネスと雰囲気の形成:カメルーン東南部の狩猟採集民バカの音声的な相互行為に着目して」

本発表は、カメルーン南東部のピグミー系狩猟採集民バカを対象に、彼らにおける雰囲気(atmosphere)の形成と変化の様式を、一連の出来事と人々の相互行為から考察して明らかにする。雰囲気に関しては、これまでの民族誌、特に狩猟採集民に関する民族誌では、その場でしか感じられない「感覚(feel)」や、「行間(between the lines)」にしか読められないなにかとしてしばしば描かれている。バカたちには、大勢の人々が何かの出来事に突然関心を寄せて集まってしまう「ドドド現象」は日常的に見られる。それは彼らのマルチ・コネクテッドネスという相互行為の基本的な構えに裏つけられたと報告されている。本発表ではとりわけ、音声的な相互行為に着目して、バカたちの1)狩猟採集時のインタラクションと2)ある採集キャンプでの15日間の出来事を用いて分析をおこなう。そこで、彼らの「その場の雰囲気」はどのように形成・変化するのか、それはいかに周囲環境と彼ら自身の相互行為に影響されるのかを、マルチ・コネクテッドネスと関連して議論したい。

・廣田緑「アーティスト・コレクティヴの協働実践~GUDSKULの事例から~」

2022年にドイツで開催された国際美術展ドクメンタ15(2022.6.18~9.25)に、インドネシアのアーティスト・コレクティヴ〈ルアンルパ(ruangrupa)〉が選ばれた。〈ルアンルパ〉は各国で活動するアーティスト・コレクティヴを招待し、ドクメンタ15は無名コレクティヴが集結する異例の展覧会となった。

ドクメンタで示されたように、集団の名称で活動を行なうアーティスト・コレクティヴ(またはコレクティヴ)はいま、現代美術のひとつの実践の方法として注目を集めている。そこで本発表では、〈ルアンルパ〉が2017年にグラフィス・フルハラ(Grafis FuruHara)、セルム(Serrum)という2つのコレクティヴと協働で立ち上げ運営するアートのエコシステム、グッスクル(GUDSKUL)を事例に、アーティストが集団として活動することを選択した過程と、その実践について、インドネシアの文化歴史的背景を加えて考察する。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/


中部地区研究懇談会担当理事 湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/05/16

220619 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2022年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第261回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
2022年 6月19日(日)15:00~17:50

◆オンライン開催
Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
参加希望者は6月17日(金)12:30までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

> 申込フォーム https://forms.gle/miD2BTfGELZckpbL8

◆プログラム 

15:00~15:05 
渡部森哉(中部人類学談話会会長/南山大学)
開会の挨拶

《修士論文の部》(司会:宮脇千絵・南山大学)
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」
(提出先:愛知学院大学大学院宗教学仏教学専攻)

16:05~16:35 
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」
(提出先:名古屋市立大学大学院人間文化研究科)

休憩(15分)

《博士論文の部》(司会:深田淳太郎・三重大学)
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

◆発表要旨
《修士論文の部》
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」

【要旨】
 本論は、沖縄県宮古島市字島尻で毎年旧暦9月に行われる神行事「パーントゥプナハ」の準備から実施までのプロセスを民族誌的に記述し、行事が島尻社会の中でどのように位置づけられているのかを明らかにしようとするものである。
 パーントゥプナハは、3体の「パーントゥ」が集落を巡り、人や家屋に泥を塗り付け、招福と厄祓いを願うことに加え、集落3か所の特定の家では古老たちが酒宴を開き、パーントゥの来訪を待ち、歓待する行事である。論文では、行事の記述を中心的に行うとともに、行事以外でパーントゥのモチーフが現れた事例について記述した。
 行事の記述を通して、行事の実施は、様々な島尻の人々によって行われるものであること、行事の空間は、島尻の人々のみならず、見物人により形作られていること、また島尻の人々、見物人共に、行事への参与のあり方にも差異があることも指摘した。行事外では、パーントゥは島尻の象徴のように扱われる一方で、しばしば宮古島を代表するモチーフとして扱われることもあることを述べた。
 新型感染症の世界的流行に伴い満足な調査を行うことは出来なったが、地域で行われる伝統的行事の一側面を明らかすることはできたであろう。

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」

【要旨】
 星は、古来より北極星をはじめとして、航海や旅を行う際の目印に使われている。特に、漁業や農業、遊牧などを中心とした生業に活かし、星を頼みとする生活のなかで、星は次第に神格化されていき、星神信仰が発展してきたと考えられる。
 日本の星神信仰は、古代中国から朝鮮へと伝わり、日本へ影響したとされている。星を神とする信仰が日本にも伝わり、北極星や北斗七星を神格化したものとして、「妙見」が信仰されるようになる。妙見菩薩は、天皇たちなど貴族層から信仰され、民衆層へと広まっていったとされる。眼病平癒や息災にはじまり、武神や航海安全の神と幅広い特性をもって信仰されていった。
 本論文は、日本における妙見信仰を、先行研究を踏まえて整理した。さらに、従来の研究でほとんど扱われてこなかった、中部地域の妙見信仰を明らかにした。本論文では、愛知県春日井市内津町の内々神社と妙見寺を中心に、実地調査を踏まえて中部地域における妙見信仰の調査を行なった。

16:05~16:35
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」

【要旨】
 イギリスのウエディングケーキ等にみられる砂糖工芸はじめ、歴史上最も砂糖に熱狂したイギリスに関しては、文化人類学、社会学、経済学の視点から取り組まれた研究は多い(S.Mintz、S.Charsley、川北稔ら)。筆者は砂糖工芸がなぜこれほど発展し続けることが可能だったのかを考察した。
 本論ではサトウキビの歴史と、植民地生産の経緯を歴史的に検証した。次に身分制度の確立による食生活の差異化の中で、富と権力のシンボルとなった砂糖の使われ方ついて考察した。さらに時代とともに王室のウエディングケーキが巨大化したこと、紅茶や食器等砂糖の周辺の産業の興りや、砂糖細工職人、そして女性達についても論じた。
 結論としては、砂糖はイギリス王権の拡大のために必須の要素であったこと。中産階級が新たな砂糖消費者となり、貴族的な生活習慣を取り込むこととも深い関連があったこと等が理解された。

《博士論文の部》
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」

 本論文は、乳幼児期被爆者を含めた広島・長崎県内外で暮らす被爆者において、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージ、世間の眼差し等といった時空性・社会性に注目し、彼らのトラウマ反応とトラウマ記憶の形成・再生産の過程について明らかにするとともに、被爆者がそれぞれのトラウマとどのように折り合いをつけながら生きてきたのか、彼らの社会関係と社会環境の観点から再検討するものである。
 本論文では、PTSD概念の前提から離れ、外傷性記憶の典型的経路以外の経路にも着目することで、既存のPTSD概念からは零れ落ちてしまう事例を表面化させるとともに、被爆者にPTSD概念を適用することの妥当性についても検討した。本論文の意義は、被爆者のトラウマについて、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージに着目し、経時的・動態的に再考することで、被爆者における社会的・文化的・政治的な問題をひも解いた点にある。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/02/02

220226 中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)を2022年2月26日(土)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年2月26日(土) 13:00~17:45

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 参加希望者は2月25日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム https://forms.gle/68aiiin9Bc4WB3Xo7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶 

13:05~14:35 田中鉄也(中京大学)

 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

14:35~16:05 松崎かさね(鈴鹿医療科学大学)

 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

16:15~17:45 堀江未央(岐阜大学)

 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

◆発表要旨

田中鉄也 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

 本発表では北インドのマールワーリーと呼ばれる人々によるカースト族譜の編纂と、それに続いて開催された一族の会合を事例に取り上げ、現代インドで「一族」がいかに想像され、さらに「故郷」がいかに創造されるのか、その過程を検証したい。本発表で着目するのは西ベンガル州コルカタ(旧カルカッタ)のある合同家族が経営する私企業である。マールワーリーと呼ばれる彼(女)らは、独立後にラージャスターン州ジュンジュヌーからコルカタへ移住し、家族で会社を経営してきた。この会社の経営者たちが中心となって、1990年代から族譜が編纂され、さらに2000年代からジュンジュヌーで一族の会合が四度開催されてきた。本発表では、まず族譜において一族の系譜関係がいかに描かれ、それが実社会における成員たちの人間関係をいかに形作っているのかを明らかにする。次に一族の会合に目を向け、その主催者マールワーリーや招待された(非マールワーリーの)一族の成員、さらにジュンジュヌーの地元住民への聞き取りを通じて、その企画が「故郷」をどのように形作ってきたのかを明らかにする。

松崎かさね 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

 発表者が現在調査を行っている三重県のある漁港は、かつてその地域で最も栄えた港であったが、漁師の高齢化や漁獲量の減少に伴い一番最初に廃港になると言われている。漁師らは魚が獲れなくなった主な経緯として四日市公害、長良川河口堰の建設、周辺住民によるゴミ問題などを挙げ、これらの問題について行政に度々訴えてきたと話す一方、そのような経過を経てきた現在の状況を「自然の摂理」や「何が悪いというわけでもない」などとも語る。本発表では現在の状況とともにそうした彼らの了解の仕方に着目する。また、後半は同地域における「山の神」信仰を取り上げる。この地域には「山神」と書かれた石碑が多くあり、これは古事記の「大山津見神」(山の神)または民間信仰の「山の神」のことであると説明される。本発表では「山神」が一体そのどちらであるのかを巡る人々の説明から、この地域の信仰について考えてみたい。

堀江未央 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

 共生という用語は、「多文化共生」という日本の政策的スローガンとして用いられるほか、symbiosis、conviviality、co-existenceなど、様々な単語の訳語として用いられる。この多義的な言葉を考える上で、本発表では身体に着目する。共生の位相は多様であるが、社会的分断を乗り越え他者との共生的関係を生み出しうるひとつの可能性として、生身の人間同士の個別具体的な身体的接触がしばしば取り上げられる。しかし、身体は常に文化的コードを帯びたものであるため、たとえ生身の接触が起こったとしても、それが引き起こす関係のあり方は一様ではない。

 本発表では、中国雲南省西南部の山地に住むラフのローカルな身体観に着目し、ラフの社会関係をふちどる身体構成要素である魂と功徳のあり方を提示する。その上で、近年ますます接触する機会の増大する漢族が、このローカルな身体に基づく関係性の上でどのような位置づけに置かれているのか、この50年ほどの変化について検討する。これらの検討を通して、中国の少数民族として生きる雲南ラフにとって最大の他者である漢族との関わり方の変遷を論ずる。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/11/22

211218 第6回 まるはち人類学研究会(中部人類学談話会第259回例会)のお知らせ

2021年12月18日(土)に第6回まるはち人類学研究会(特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー)をオンラインにて開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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第6回 まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」)
【共催】:第164 回北陸人類学研究会例会(日本文化人類学会 北陸地区研究懇談会)、中部人類学談話会第259回例会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年12月18日(土)13:00~16:50

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 12月17日(金)正午までに、以下のURLに必要事項を記入して送信してください。
 開催日までにZOOMのアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム https://forms.gle/zpoHd8rgBJpHhQUT6

◆プログラム 

13:00-13:05 開会挨拶・趣旨説明 伊藤 泰信(JAIST)
13:05-13:15 参加者自己紹介


13:15-13:30(発表10分、質疑応答5分)
大谷かがり(JAIST博士前期課程)
「看護師はいかに知識と技を習得するのか──名古屋市内の訪問看護ステーションのエスノグラフィ」

13:30-13:45
川口弥恵子(JAIST博士後期課程)
「外来ジェネラリストナースの専門性——福岡県の内科クリニックにおける医療エスノグラフィ」

13:45-14:00
古新舜(JAIST博士後期課程)
「映画製作において産み出される関係論的な創造性の萌芽——パーキンソン病当事者を題材とした映画のエスノグラフィ」

14:00-14:15
山口宏美(JAIST研究員)
 「外来医療の現場における情報ツールを媒介とした多職種協働──糖尿病患者の診療情報の共有と可視化をめぐって」
 
14:15-14:35
コメント:中尾世治(京都大学)

14:35-14:45
コメントに対する発表者の応答
 
14:55-15:10
加藤英明(南山大学)
「仕事場をつくる──西三河地域における町工場の人びとのライフヒストリーを事例に」

15:10-15:25
木戸志緒子(愛知県立大学博士後期課程)
「ホスト社会の日本人と在日留学生の交流に関する個人別態度構造の比較」

15:25-15:40
天野紗緒里(名古屋大学)
「スピリアリティの実践提供者が認識する「生きづらさ」──「何」を癒すのか」
 
15:40-16:00
コメント:大戸朋子(法政大学)・伊藤泰信(JAIST)・比嘉夏子(JAIST)
16:00-16:10
コメントに対する発表者の応答
 
16:20-16:50 総合討論
16:50 閉会

2021/11/18

211121 中部人類学談話会第258回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)を2021年11月21日(日)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第258回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年11月21日(日)14:00~17:15

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 参加希望者は11月19日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム  https://forms.gle/xtwMawB39T7j5Nmi7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶

14:05~15:35 山本文子さん(三重大学ほか非常勤講師)
 「「ミャンマー」を想像/創造する――アウンサン将軍の伝記映画製作の事例から」  

15:45~17:15 二文字屋脩さん(愛知淑徳大学)
 「ホームレス問題からホーム問題への再定位:〈ホーム・イデオロギー〉の相対化と新たな出会いの場の構築を目指して」

◆発表要旨

山本文子さん(三重大学ほか非常勤講師)
 「「ミャンマー」を想像/創造する――アウンサン将軍の伝記映画製作の事例から」

 本報告では、ミャンマーで現在製作中のアウンサン将軍伝記映画の事例から、国家としての「ミャンマー」がどのように想像/創造されるのかを考察する。アウンサンスーチーの父親であるアウンサン将軍は独立の立役者であり、現在でも国民の間で絶大な人気を誇る。国家をあげたこのプロジェクトは2012年にアウンサン将軍生誕100周年である2015年の公開を目指して始まったが、様々な困難が重なり未だに映画は完成していない。またこの映画製作にかんしては、アウンサン将軍役を決める一般オーディションの様子が報道されるなど、既存のメディアもともに「ミャンマー」の想像/創造に参与している様子が伺われる。本報告ではメディアでの報道資料をもとに、アウンサン将軍の伝記映画の製作過程や報道のされ方を整理し、そのうえでこの映画の製作をとおしてどのように「ミャンマー」が想像/創造されるのかを考えたい。

二文字屋脩さん(愛知淑徳大学)
 「ホームレス問題からホーム問題への再定位:〈ホーム・イデオロギー〉の相対化と新たな出会いの場の構築を目指して」

 「近くて遠い隣人」として都市部に存在するホームレス。「無力な弱者」として語られがちな彼らを人類学的視点から照射することでどのような問題の再定位が可能なのか。 本発表では、発表者が早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)で立ち上げたボランティアプロジェクト「トーキョー・サバイバー」の活動を出発点に、ホームレスをめぐるこれまでの表象を相対化しつつ、三者構造の差別、アナキズム、コモンの三つをキーワードに、ホームレス問題をホーム問題として再定位することの可能性とその公共性について議論する。とくに本発表では、ホームレス問題を差別問題として位置づけるとともに、差別の元凶とも言うべき〈ホーム・イデオロギー〉を当事者の語りから相対化し、ホームレス問題をホーム問題として捉えなおすことで、社会問題に対する人類学の可能性について検討したい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/08/23

210911 中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)を2021年9月11日(土)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第257回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2021年 9月11日(土)13:00~16:15

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
 参加希望者は9月10日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム
  https://forms.gle/ZrygtYM4juZmQovh7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶

13:05~14:35 松本卓也さん(信州大学)
 「排泄の自然誌を編む:野生チンパンジーの排泄行動データの予備分析」  

14:45~16:15 丹羽充さん(一橋大学大学院社会学研究科特別研究員)
 「ネパールにおける世俗主義とヒンドゥー・ナショナリズム-世界ヒンドゥー連盟を事例として」

◆発表要旨

松本卓也さん(信州大学)
「排泄の自然誌を編む:野生チンパンジーの排泄行動データの予備分析」
 発表者は、これまでのべ3年近くタンザニア連合共和国・マハレ山塊国立公園に滞在し、野生チンパンジーの研究を継続してきた。本発表ではまず、自己紹介に代えてこれまでの研究の概要(幼年個体の採食行動など)をお話ししたい。次に、新型コロナウィルスの世界的流行の直前まで収集していた、チンパンジーの排泄行動に関するデータの予備分析結果について発表したい。排泄行動を中心に観察を続けていると、ある程度チンパンジーの排泄を予見できるようになる。「あっ、する」とわかるのである。そのヒントとなるのは、(1) 時間間隔、(2) 姿勢、(3) 行動の文脈である。これらのチンパンジーの排泄行動の傾向と特徴を、量的・質的データで示すことを本発表の目的としたい。 また、発表者が今年度の4月に着任した信州大学には、ニホンカモシカから水生昆虫に至るまで霊長類以外の動物の専門家も多数在籍しており、より幅広い生物種の排泄について議論を深めたいと考えている。中部人類学談話会の参加者の方々からも、研究の過程で得られた排泄にまつわるエピソード等をぜひお聞かせいただきたい。

丹羽充さん(一橋大学大学院社会学研究科特別研究員)
「ネパールにおける世俗主義とヒンドゥー・ナショナリズム-世界ヒンドゥー連盟を事例として」
 世界唯一のヒンドゥー王国として知られたネパールは、ネパール共産党毛沢東主義派による内戦を経て、2007年暫定憲法によって連邦民主制の世俗国家となった。以降、このことに対する反発としてヒンドゥー・ナショナリストの活動が活発化するようになっている。本発表では、ネパールにおける国家とヒンドゥー教の関係の歴史と世俗主義の導入の経緯を概観した上で、圧倒的に長い歴史と、歴代の国王との関係を有するヒンドゥー・ナショナリスト団体たる世界ヒンドゥー連盟を取り上げる。より具体的には、世界ヒンドゥー連盟の主張を検討し、それが打ち出すのが「包含的ヒンドゥー・ナショナリズム」であることを示す。その上で本発表では、世界ヒンドゥー連盟に対するさまざまな声を分析し、往々にして厳しい批判の対象とされつつも世界ヒンドゥー連盟が、宗教を超えたセミラチス状のネットワークを、たしかに構築しつつあることを浮かび上がらせる。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2021/05/17

210612 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2021年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第256回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
 2021年 6月12日(土)13:00~17:55

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
 参加希望者は6月11日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム
  https://forms.gle/QKkMtVuq4bu1wSTm7

◆プログラム 
13:00〜13:10 開会の挨拶

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院国際文化研究科)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」
  (提出先:南山大学大学院国際地域文化研究科)

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」
  (提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」
  (提出先:名古屋大学大学院文学研究科)

◆発表要旨

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」

【要旨】
 日中両国は隣国であり、二千年にわたる歴史の中で様々な交流がある。「七夕漢詩」はその代表的な一例である。古来、中国古典文学の主流であり、日本人にも愛される漢詩は、文学史における重要な存在である。しかし、先行研究では、七夕の起源や日本への伝来および定着の過程については検討されているが、文学の方面、特に両国の七夕漢詩については、十分に論じられていないと見られる。
現存する日中両国の多くの漢詩は、文学作品としての価値があるだけでなく、両国の歴史上の生活、社会、思想の変化を示すよい素材でもある。本稿は中国と日本の七夕に関する漢詩の分析・比較を行った。その結果、時代の変遷より、両国の七夕文化も、漢詩もそれぞれ異なる特徴を持ってきたことが明らかになった。同時に、思想・審美、理想的な社会への憧れ及び宗教に対する態度などの変化、両国の七夕漢詩の中にもれなく反映されていることが分かった。

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」

【要旨】
 本研究は、英国に存続する民俗フットボールについて、その実態及び特徴を整理し、それらが存続してきたなかで見られるゲームの変容やその社会的背景について明らかにする。その上で、民俗フットボールの現代的意義を検討し、その教育還元の可能性について言及することを目的とする。まず、民俗フットボールの多様性が確認され、民俗フットボールが近代スポーツの前史のゲームとしてこれまで位置づけられてきたことについて、それらは並立・並存するものとして捉えるという新たな知見を得ることができた。また、民俗フットボールの姿を、Kirkwallを事例にして民族誌的に整理することで、その変容・存続の様子から、コミュニティを統合する契機となるように住民たちが主体者となって働きかけるという社会的機能の内実を示すことができた。さらには、近代スポーツがルールによってその厳格化を図るのとは異なり、民俗フットボールでは暴力性がゲームを成立させ、また楽しみを保障する大切な要素となることも明らかになった。以上のような考察をもとに導き出される民俗フットボールの文化的意義、社会的意義をもとに教育還元の可能性も見出すことができた。

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」

【要旨】
 本論文は、現代日本で政策的に活用され、近年ロビー団体により文化財保護法への明文化が目指されている古武道という武術のジャンルを、伝承という観点から論じたものである。世代を越えて受け継がれるものとされる伝承を追究するために、本論文では現代の古武道に対する体験的調査と、過去の武芸に関する未公刊史料の調査踏まえ、古武道の伝承について、その伝承のありようと、伝承の継続・同一性の実態、そして伝承から伝統が構築される契機、の3点を分析した。分析結果からは、古武道の伝承とは行伝・書伝・口伝という三伝から構成されるもので、その身体技法には物質的側面が必須であり、それらの特徴は歴史的に一貫して不変に見えるものの実際は変化・変容してきたものであって、さらにその伝統は、急激な社会変化を契機として構築されたものであることが明確化した。そして、このような古武道の伝承が、実践・身体技法・実践共同体・文化における“消化”と“モデルチェンジ”・文化のナショナリズムといった文化人類学的視座からとらえることができる点を主張した。

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」

【要旨】
 本論文は、病院出産が当たり前となっている都市部における出産に関わる習俗と儀礼の現状と変化を詳細に検討するために、初めて事例研究として愛知県名古屋市の事例を取り上げ、安産祈願の実践内容、とくに腹帯祝いの習慣、安産祈願と社寺の関係、里帰り出産の慣行、出産をめぐる禁忌、出産と「穢れ」観、出産と産育に関する知識の入手先、といった項目の調査研究をつうじて、日本の出産と産育に関わる習俗と儀礼の研究に新たな資料と知見をもたらすことを目的とする。調査研究の手法としては、聞き取り調査、直接観察、質問票を用いた調査を併用した。研究の結果として、筆者は時代の変化とともに病院出産が一般的となった今でも従来どおり、女性が妊娠すると胎児の安産を願って妊娠の五ヶ月目頃、縁起の良い日とされる「戌の日」に社寺に参拝し、お腹に腹帯を締める習俗が継承されている。しかし、現代の妊婦にとってそれらの儀礼の意味内容は、主に現代医療の知識の観点から重視されるものとなっていることを指摘した。

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学大学院人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」

【要旨】
 本論文は、クラシック音楽愛好家たちのあいだでさほど注目を集めていなかったグスタフ・マーラーとその楽曲が、1970年代以降に演奏回数が急激に増加し、1980年以降にブームを迎えた事実に注目し、その要因を「新たな聴衆層の誕生」という観点から読み解こうとしたものである。具体的には、(1)マーラーが普及する環境条件の整備、(2)聴衆と音楽の聴き方の変化、(3)音楽関連メディアの活動とその役割、の3つの視点から資料の提示と考察をおこなった。
 本論文はマーラーブームの要因を次のように結論づけた。1970年代以降、社会状況の変化とともにクラシック音楽愛好家の嗜好も変化し、それまで主流とされてきたベートーヴェンの克己型、課題解決型の音楽を正しく聴取し理解することで自己を高めるという聴き方ではなく、個人の内面と向き合い、癒しを求めるような聴き方に変貌した。他方で、こうした音楽の聴き方は従来のクラシック音楽愛好家以外の層にも普及した。このグループは出身階級に拠らない愛好家集団であり、それまでのベートーヴェンを代表とするクラシック音楽愛好家層とは明らかに異なる、新たな「界」ということができる。
 そして、CDやステレオセット、FMエアチェックなどの普及が、かつてないほどの高音質によるマーラー聴取を可能にした。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)