2017/10/22

中部人類学談話会第242回例会のお知らせ(171209)

中部人類学談話会第242回例会
日時:2017年12月9日(土)13:30~17:00 (最大延長)
会場:名古屋大学人文学研究科/文学部 1階大会議室(110教室)

地下鉄名城線名古屋大学駅より徒歩約5分
* 交通アクセス http://www.nagoya-u.ac.jp/access/index.html
* キャンパスマップ http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html

プログラム:
13:30~14:30 発表① 吉田早悠里氏(南山大学国際教養学部)
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」

14:30~15:00 質疑応答

15:00~15:15 休憩

15:15~16:15 発表② 座馬耕一郎氏(長野県看護大学看護学部)
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」

16:15~16:45 質疑応答

備考: 終了後、懇親会

【発表要旨①】 吉田早悠里氏
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」

本発表は、エチオピア南西部カファ地方の事例をもとに、無文字社会においてどのように歴史が再構築されているのかについて、外国人研究者の研究成果との関わりをもとに論じるものである。2010年頃からカファ地方では、同地に1897年まで繁栄したカファ王国の歴史と文化を復元し、次世代に継承しようとする取り組みが活発になっている。しかし、カファ地方で話されているカファ語は文字をもたず、歴史資料も乏しい。加えて、口頭伝承やかつての歴史を知る人物の多くが他界し、同地の歴史を知ることは困難になっている。こうしたなかで、カファ王国時代を知る手がかりとして20世紀に同地を訪れた外国人研究者による研究成果が用いられるようになっている。そこで、外国人研究者による研究成果がどのようにカファ地方の人々に知られ、用いられているのか。また、それらが現地の人々の歴史観やアイデンティティにいかなる影響を及ぼしているのかについて検討する。

【発表要旨②】 座馬耕一郎氏
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」

本発表では野生チンパンジーの睡眠について紹介し、それをもとに私たちの眠りについて考察する。睡眠は生理的な欲求にもとづく行動である。レム睡眠やノンレム睡眠が哺乳類全般にみられることからも、ヒトの睡眠は進化の歴史の中でかたち作られてきた生理的な行動のひとつということができる。一方で睡眠は文化の側面も持つ。ベッドで眠る人もいれば畳の上に敷いた布団で眠る人もいるように、世界にはさまざまな眠り方がある。私たちの眠りについて深く考えるためには、睡眠を進化と文化の両側面から考える必要がある。
ヒトに近縁なチンパンジーやボノボ、ゴリラ、オランウータンは、夜になるとベッドを作りその上で眠る。チンパンジーのベッドは毎日、おもに樹上に作られる。木の枝葉を幾重にも重ねて作られたベッドは、楕円形で、中がくぼんだお皿のような形状をしており、このベッド作りは学習によると考えられている。このような樹上のベッドは、二足歩行をはじめた人類の祖先も作っていたとされ、その後地上で眠るようになり、眠り方の多様性が生じたと考えられる。発表ではチンパンジーのベッドをヒントに開発された人類進化ベッドについても紹介する。

問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局

  中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
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2017/10/22

三河民俗談話会よりお知らせ(171028ほか)

①三河民俗談話会のご案内

10月は、 湯谷翔悟さん(岡崎市美術博物館・学芸員)の発表です。

タイトル:三河地域における秋葉参詣ルート

湯谷さんは、岡崎市の学芸員として文化財の管理や美術博物館・生涯学習事業の運営や実務を担当されてきました。近世史の専門家として論文の執筆で活躍される一方で、各地の市史などの編纂に近世編を担当し関わってこられました。今回は、湯谷さんが関われ、11月25日から開催予定の企画展「三河の秋葉信仰―火伏の神の系譜」の話題を中心にご講演をお願いいたしました。

日時  10月28日(土) 14時~17時

場所  愛知大学豊橋校舎 5号館4階 541教室

資料代 300円。学生はいつも無料です。

連絡先 愛知大学 豊橋キャンパス 地域政策学部 高橋貴研究室気付0532-47-4111

 

②比較民俗学会 2017年度大会のご案内

日時:平成29年11月4日(土)~5日(日)

場所:本居宣長記念館

三重県松阪市殿町(松阪公園内)電話0598-21-0312

松阪駅(JR・近鉄)から徒歩15分、バス「松阪市役所」徒歩5分

11月4日(土)公開講演

14時~15時     日本絵葉書学会会長 山田俊幸先生 「本居宣長と花森安治」

15時20分~16時20分 琉球大学名誉教授 小島瓔禮先生 「本居宣長に学ぶ―現代現場主義の尊

さ―」

17時30分~19時30分 懇親会(スサノオ、会費5000円)

11月5日(日)研究発表

① 9時~9時30分  繁原幸子「消えゆく山間地の民俗文化―官民一体の対策・静岡市の例―」

② 9時30分~10時 小野田貴夫「物語の認識と守屋慶子『大きな木』論再考」

③ 10時~10時30分 西脇隆夫「説話における「変身」について」

10分休憩

④  10時40分~11時10分 斧原孝守「「桃太郎・山行き型」の一解釈」

⑤ 11時10分~11時40分 川谷 真「「物言わぬ子」と異類婿」

⑥ 11時40分~12時10分 美濃部京子「お母さんが私を殺してお父さんが私を食べた―「ばらの木」の歌をめぐって―」

昼食

⑦ 13時30分~14時  清水伸子「ロシア・イコン伝説」

⑧ 14時~14時30分  河野 眞「西欧キリスト教社会における奇蹟の発現について―マリーアヒルフの絵像の事例―」

⑨ 14時30分~15時  鶴田涼子「文学作品におけるマンドラゴラあるいはアルラウネ受容について―ドイツの伝承と文学作品を中心として―」

主催・比較民俗学会(問い合わせ先―繁原 央08030778987)

共催・本居宣長記念館、協力・三河民俗談話会

③東栄フェスティバル 2017年 のご案内

日時:11月3日(金) 文化の日、10時から19時(雨天決行)

会場:東栄ドーム(愛知県北設楽郡東栄町本郷)

プログラム

11時  開会式

11時半 設楽町貝津田棒の手

13時  飯田市遠山和田霜月祭

14時  浜松市寺野ひよんどり

14時半 東栄町河内花祭

15時半 東栄町足込花祭

16時半 和太鼓したら

17時半 東栄町中在家花祭

今年の花祭日程

小林  11月11日(土) 7時から23時半 御園 11月11日(土) 14時から翌日12時

東薗目 11月19日(日) 8時から22時  月  11月22日(水) 13時から翌日18時

足込  11月25日(土)15時から翌日15時 河内 11月25日(土)18時から翌日10時

中設楽 12月2日(土) 13時から翌日18時 中在家 12月10日(日) 8時から22時半

古戸  1月2日(月)   9時から翌日17時 下粟代 1月6日(土)14時から翌日14時半

布川  3月3日(土)   13時から翌日10時

詳しい内容の問い合わせ

0536-76-0502 東栄町役場 振興課 情報観光課

2017/10/22

中部人類学談話会共催のお知らせ(171123-24)

11月23日(木)~24(金)に、名古屋大学で「花祭×いざなぎ流-神楽のなかの祭儀・呪術・神話-」が開催されます(中部人類学談話会共催)。
以下にご案内申し上げます。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
————————————————————————-
中部地区研究懇談会(中部人類学談話会)

日時: 2017年11月23日(木・祝)13:00-17:00
11月24日(金)10:00-17:00

会場: 11月23日 名古屋大学文系総合館カンファレンスホール
11月24日 名古屋大学人文学研究科大会議室
* 交通アクセス http://www.nagoya-u.ac.jp/access/index.html
* キャンパスマップ http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html

プログラム: 「花祭×いざなぎ流―神楽のなかの祭儀・呪術・神話―」

11月23日(木)公開講演会「花祭といざなぎ流への誘い」

開会挨拶 阿部泰郎(名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター)

講演   大神楽と花祭―「生まれ清まり・浄土入り」から「神遊び」へ/山崎一司(民俗芸能学会評議

員)

いざなぎ流の祭儀―呪詛・神楽・鎮め/小松和彦(国際日本文化研究センター)

いざなぎ流と青ケ島の神楽/山本ひろ子(和光大学名誉教授)

祈る神と鎮める神―東アジアの宗教と民俗神/松尾恒一(国立歴史民俗博物館)

司会   浮葉正親(名古屋大学国際言語センター)

11月24日(金)シンポジウム「中世神道と神楽」

問題提起 斎藤英喜(佛教大学歴史学部)

研究発表 奥三河における祭文の展開/松山由布子(名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産

テクスト学研究センター)

天の祭り論―奥三河花祭の〈秘儀〉をめぐって/星優也(佛教大学大学院)

休憩   12:00-13:00

映像上映+解説 「花祭の鎮め」と「いざなぎ流の鎮め」/佐々木重洋(名古屋大学人文学研究科)×梅

野光興(高知県立歴史民俗資料館)

研究発表 修験的想像力と神楽の世界―中世神道研究との接点を求めて/小川豊生(摂南大学外国

語学部)

コメント 小松和彦(国際日本文化研究センター)
阿部泰郎(名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター)

全体討論(司会 斎藤英喜)

問い合わせ先:
いざなぎ流と物部川流域の文化を考える会
E-mail: izanagi.monobe2012[at]gmail.com (@を[at]に置き換えています)

名古屋大学人文学研究科附属人類文化遺産テクスト学研究センター
E-mail: cht[at]lit.nagoya-u.ac.jp (@を[at]に置き換えています)

中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)

2017/09/20

中部人類学談話会第241回例会のお知らせ(171014)

みなさま

10月14日(土)に、中部人類学談話会(第241回例会)が開催されます。
以下にご案内申し上げます。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

————————————————————
中部人類学談話会第241回例会

日時:2017年10月14日(土)13:00~14:45

会場:南山大学R棟3階R65教室(当初のR35からR65教室へ変更となりました)

R棟地上階入口の右手にあるエレベーターで6階へお上がりください。

http://www.nanzan-u.ac.jp/CMAP/nagoya/campus-nago.html

アクセス 地下鉄名城線八事日赤駅より徒歩約8分
地下鉄鶴舞線いりなか駅1番出口より徒歩約15分

住所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18

【プログラム】
鈴木舞 氏(東京大学地震研究所)
「法と科学の交差:ニュージーランドにおける科学鑑定の分析」

〈発表要旨〉
今日、我々の生活において科学は不可欠の存在となっており、文化人類学でも1970年代以降、科学的知識の産出プロセスや科学と社会との関係性が重要な研究課題となってきた。本発表ではこうした科学に関する文化人類学の研究潮流に基づき、多様な科学分野の中でも、犯罪に関連する科学の検討を行う。
近年、犯罪捜査や裁判に貢献するために、DNA型鑑定をはじめとして、犯罪の証拠資料を科学的に分析する科学鑑定が、法科学ラボラトリーで実施されている。科学鑑定は法科学とよばれる科学に基づいて行われるが、科学鑑定の結果は裁判などの法的文脈の中で利用される。そのため、科学鑑定の現場である法科学ラボラトリーとは、法と科学という異なる認識枠組みを持つものが交差する場であり、それ故に様々な問題も生じている。本発表では、ニュージーランドの法科学ラボラトリーでのフィールドワークに基づき、法と科学が交錯する中で、どのように科学鑑定が遂行され、いかなる問題が発生し、それが解消されていくのかを分析する。

備考:終了後、懇親会(18:00~を予定)

*付記*
南山大学人類学研究所では、10月14日(土)15:00から、
亡命チベット人を描いたドキュメンタリー映画 『ラモツォの亡命ノート』上映とトークセッションが予定されています。
ご関心がおありの方は、談話会にも映画会にもふるってご参加ください。
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/JINRUIKEN/activity/2017/20171014_Tibetianwoman.pdf

【お問い合わせ先】
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)

2017/09/20

三河民俗談話会よりお知らせ(170930)

三 河 民 俗 談 話 会 の ご 案 内

9月は、 津田 豊彦さん(名古屋民俗研究会・名古屋市史編集委員)の発表です

タイトル:磨き砂・一向山事件と相撲

 

名古屋中心の尾張地方の民俗を中心に調査・研究をされてきた津田豊彦さんですが、今回は珍しい半田のお話をされます。

日時  9月30日(土) 14時~17時

場所  愛知大学豊橋校舎 5号館4階 541教室

資料代 300円。学生はいつも無料です。

連絡先 愛知大学 豊橋キャンパス 地域政策学部 高橋貴研究室気付 0532-47-4111

2017/06/08

中部人類学談話会第240回例会(170624)

みなさま

下記の要領で中部地区研究懇談会・博士論文合同発表会(中部人類学談話会第240回例会)を開催します。みなさま、ふるってご参加ください。


中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第240回例会)修士論文・博士論文合同発表会

日時: 2017年年6月24日(土) 13:00~17:30

会場: 南山大学Q棟Q104 教室(〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18)
地下鉄名城線八事日赤駅より徒歩約8分
地下鉄鶴舞線いりなか駅1番出口より徒歩約15分
http://www.nanzan-u.ac.jp/CMAP/nagoya/campus-nago.html

【プログラム】※要旨は文末にまとめて掲載しております。

第一部 修士論文

13:00-13:30 足立賢二(名古屋大学大学院人文学研究科博士課程後期課程/宝塚医療大学保健医療学部)
「縄文期竪穴住居の空間的時間的多様性―温熱環境からみた竪穴住居の実像―」

13:30-14:00 石川雅健(名古屋大学大学院人文学研究科博士課程後期課程/愛知学院大学教養部)
「PostureによるNon Verbal Communicationに関する研究―対人認知及び対人関係認知のStick Figureによる考察―」

14:00-14:30 内田朋美(名古屋大学大学院人文学研究科博士課程後期課程)
「ルネサンス期キリスト教絵画における身体所作について―左右の対称性をめぐって―」

14:30-15:00 出嶋千尋(名古屋大学大学院人文学研究科博士課程後期課程)
「宮崎駿の〈森〉観」

第二部 博士論文

15:15-16:15 竹内愛(日本学術振興会特別研究員PD/南山大学)
「伝統社会に生きる女性の幸福向上のための開発論―ネパールの旧王都パタンにおけるネワール民族の女性自助組織『ミサ・プツァ』の自発的な活動を事例として―」

16:15-17:15 中尾世治(総合地球環境学研究所・プロジェクト研究員)
「西アフリカ内陸における近代とは何か-ムフン川湾曲部における政治・経済・イスラームの歴史人類学-」

備考: 終了後、懇親会

【発表要旨】

◆足立賢二 「縄文期竪穴住居の空間的時間的多様性―温熱環境からみた竪穴住居の実像―」

本研究では「生活」の観点から日本列島内竪穴住居の実像の一端を把握することを目的とした。具体的には民族誌資料および実験的手法に基づき屋根葺形式(草葺・土葺)毎の竪穴住居の温熱環境を分析し、分析結果を踏まえ長野県縄文期竪穴住居の実態に関する理論的検討を実施した。併せて上記検討結果に基づき長野県縄文期竪穴住居の地域的変異(空間的多様性)および変遷(時間的多様性)の背景を検討・考察した。本研究の中心課題となったのが「火熱利用法」の検討である。竪穴住居の先行研究には「炉の位置」と「住居構造」との相関性に対する指摘[三田・広瀬・平賀 1991]があり、炉が燃焼装置として機能することを踏まえると、炉と相互規定的な「火熱利用法」と「住居構造」との相関性も予想できる。以上の観点を踏まえ、「炉形態」「住居構造」「火熱利用法」三者の統合的な分析と検討を実施して、長野県下縄文期竪穴住居の空間的・時間的多様性の一端を論じた。

◆石川雅健 「PostureによるNon Verbal Communicationに関する研究―対人認知及び対人関係認知のStick Figureによる考察―」

非言語コミュニケーションのひとつであるPosture(姿勢・動作)に着目し、Sarbinら(1953)が用いたStick Figure(線画、以下SFと略す)を刺激図形として、以下の3種の調査を行った。調査Ⅰとしては、SFがどのように認知され、共通反応はどのようなものかを明確にすることを目的とした。大学生を対象として提示した結果、30種類のSFのうち10種類に斉一性がみられた。調査Ⅱでは、人もしくは対象に対するaction/reactionとして分類・抽出した各5種類のSFを組み合わせて対人関係場面・状況を作成し、近距離・遠距離間での反応の相違を明らかにすることを目的とした。その結果、距離の違いでは有意差は認められず、男女差がみられた。さらに調査Ⅲでは、健常者と統合失調症患者との反応を比較した。方法は、調査Ⅰ・Ⅱと異なり、感情表出SFと特定反応SF各5種類を用いて二者間の物語を作成した。結果としては、統合失調症群は拒否・拒絶の傾向、二者間関係に関係性を求めない傾向などが見出された。

◆内田朋美 「ルネサンス期キリスト教絵画における身体所作について-左右の対称性を巡って-」

本発表では、キリスト教絵画に見られる左右非対称の身体所作と左右対称の身体所作の関係性について考察することを目的とし、ルネサンス期のキリスト教絵画において左右非対称、左右対称の身体所作を行う人物や存在が同一画面上に描かれている全44作品を対象に、身体所作、主体、身体所作が行われている場面と状況を分析する。
本発表で取り上げる作品のうち、「受胎告知」を除く主題では、描かれている左右非対称の身体所作は、より上位の立場にいる存在と結びつき、左右対称の身体所作は、相対的に下位の存在と結びついている。「受胎告知」は主題の特殊性ゆえに、身体所作によって優劣を象徴するということが明確には現れないが、全体として、左右非対称の身体所作は、より上位にいる人物、存在の聖性を強調し、左右対称の身体所作は、聖性に対して従属する意思を示すような一歩下がった謙った身体所作であるという傾向が認められる。発表者は、このような身体所作を描くことで、鑑賞者にその主題における優劣といった縦方向の二元論的関係と鑑賞方法を示していると考える。

◆出嶋千尋 「宮崎駿の「森」観-『もののけ姫』に描かれる明暗を中心として-」

従来の研究において、宮崎の自然観は一元的に捉えられがちであった。しかし、時期によって宮崎の自然観は異なっており、そうした点に着目して作品を分析する必要があると考え、研究にいたった。本研究の目的は、宮崎駿が作品にある森の描写について分析を行い宮崎の自然観について言及することである。今回は宮崎駿の持つ自然観のことを「森」観としている。宮崎が森に対して特別視していたことから、自然観ではなく「森」観とすることにした。
宮崎の作品で特に森を中心に描くものが『もののけ姫』である。『もののけ姫』に描写される森の分類を行い、森の描き分けをおこなった宮崎の考えについて分析を行う。特に照葉樹林文化論の考えを用いて、宮崎の描く森について考察を行った。 さらに宮崎の発言内容から宮崎の「森」観を3期に分けて分類を行っている。3期それぞれに該当する作品を取り上げ、描かれる森の相違点について言及した。

◆竹内 愛 「伝統社会に生きる女性の幸福向上のための開発論?-ネパールの旧王都パタンにおけるネワール民族の女性自助組織『ミサ・プツァ』の自発的な活動を事例として?」

本研究の目的とは、「人間開発」の思想と実際のネワール社会の女性の「幸せ・願望」はどこがかみ合っていないのか、それはなぜか、現地の文化的背景と近代主義の開発理論との間のギャップを解明することである。アマルティア・センは、人間的自由の向上が開発における最大優先事項であると主張し、人間の「潜在能力」(ケイパビリティ)を拡大させることが開発にとって有効であるとしている。彼は、女性の自立(経済的独立と社会的な解放)には女性自身の潜在能力が必要であると論じている。しかし、伝統的なネワール社会において、女性自助組織「ミサ・プツァ」が設立されて約20年が経ったが、女性たちはミサ・プツァの活動をすることによって、個々の女性が経済的な自立をする等、自己の利益を追求する方向ではなく、むしろ、ミサ・プツァが地域全体の一機能になる方へと向かっている。女性たちは個々の利益よりも地域のことを第一に考えている点がこれまでの開発理論にはないネワール民族独特の思想である。ミサ・プツァで潜在能力を拡大するために「職業トレーニング」を行っても、彼女たちの社会的・経済的・文化的背景が大きく影響し、開発としての成果はあまり望めない。発表者は、女性たち自身の個人として望む生き方の違いを分析し、女性たちのどのような潜在能力を拡大すると幸せにつながるのか、女性たちの生活を起点とした「集団」という視点による新たな開発理論の提唱をする。

◆中尾世治「西アフリカ内陸における近代とは何か-ムフン川湾曲部における政治・経済・イスラームの歴史人類学-」

博士論文では、ムフン川湾曲部 (ブルキナファソ西部)におけるイスラームの植民地統治以前から独立(1960年)までの通史を叙述し、西アフリカ内陸における近代とは何かを明らかにした。第1部では、19世紀までのムフン川湾曲部の社会の特徴をまとめたうえで、19世紀前半にこの地域で生じたジハードが政治・経済・イスラームの複合の萌芽として捉えられることを明らかにした。第2部では、主として1890年代から1930年代までのフランスによる征服と植民地統治について論じた。暴力の独占と行政機構の導入によって、経済と政治の領域が大きく変容したこと、人頭税を基軸として、それ自体の再生産を行う一つのシステムとしての行政機構の導入が、独自の政治-経済の領域を生みだしたこと、植民地行政とカトリック宣教団の拮抗によって、宗教の帰属に基づく友-敵関係を構成する宗教-政治の場が生じたことを指摘した。第3部では、主として1940年代から1960年までの政党政治とムスリム文化連合の活動を論じた。そのなかで、ムスリム文化連合は、植民地経済のなかで富を蓄えた商人たちをパトロンとしつつ、RDAの一部の幹部をメンバーに加えることで、それまでカトリック宣教団にほぼ独占されていた近代教育への参与を図る運動を展開し、この運動が、政治・経済・イスラームの新たな複合であったことを指摘した。これらから、西アフリカ内陸における近代とは、行政機構の導入と、植民地統治以前から生じていた貨幣経済の進展とイスラームの一般化、それらから帰結する諸事象としてまとめられることを述べた。

【問い合わせ先】

中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)

2017/06/07

三河民俗談話会よりお知らせ(170611)

第47回東海民俗研究発表大会日程
大会テーマ「旅・街道・宿場町」

日時:平成29年 6月11日(日)9:55~16:50

会場:愛大豊橋校舎 豊橋市町畑町1-1(AM)→二川宿本陣資料館 〃二川町字中町65(PM)

受付開始 9:30
開会あいさつ(当番 三河民俗談話会)9:55
研究発表(午前の部)10:00~11:45※愛大会場5号館511教室【一発表・質疑を含め時間35分】

1 久住祐一郎氏「二川宿商家の古神札にみる信仰と旅」(三河民俗談話会)

2 伊東久之「ランプ照明時代の鉄道旅行とその周辺設備」(岐阜民俗学研究会)

3 神野知恵氏「韓国民俗芸能との比較的視座から見る伊勢大神楽の回檀」(まつり同好会)
会場移動・休憩 (12:00~13:40)  ※主催団体代表者会(12:30~13:30)

二川宿本陣資料館入場(入口で入場券配布)・入場後すぐ、本陣内で全員写真撮影(13:40)
研究発表(午後の部) 13:50~15:00※二川会場・資料館会議室【一発表・質疑を含め時間35分】

4 小早川道子氏 「庶民の小さな旅と大きな旅(仮)」(名古屋民俗研究会)

5 岡野翔氏「御利益のおすそわけ ― 代参講の旅の後」(伊勢民俗学会)
公開講演  15:15~16:45

旅と民俗の課題  ―江戸時代の吉田藩領・二川宿を事例として―

愛知大学名誉教授  渡 辺 和 敏 先 生

 

閉会あいさつ(次回 岐阜民俗学研究会)16:50

主催 まつり同好会・名古屋民俗研究会・岐阜民俗学研究会・伊勢民俗学会・三河民俗談話会(当番)

2017/05/19

三河民俗談話会よりお知らせ(170527)

三河民俗談話会これからのご案内

5月は、菅沼 真衣さん(豊川市教育委員会)の発表です。
タイトル:旅籠・大橋屋の俵を解く―俵に詰まっていたお札から分かった信仰圏

豊川市赤坂町にある旅籠・大橋屋が、文化財として市の管轄となりました。また、一般公開に向けて建物調査が行われました。その中で建物の吹き抜け最上部の梁上に6つの俵の存在が確認されました。中身から、大量の札が発見されました。江戸末期から昭和前期までの神社仏閣の札からわかったことは何でしょうか。調査にあたられ、民俗資料館での企画展を担当された菅沼さんからお聞きしたいと思います。

日時  5月27日(土) 14時~17時

場所  愛知大学豊橋校舎 5号館4階 541教室

資料代 300円。学生はいつも無料です。

連絡先 愛知大学 豊橋キャンパス 愛知大学 地域政策学部 高橋貴研究室気付0532-47-4111

2017/04/14

三河民俗談話会よりお知らせ(170422)

三 河 民 俗 談 話 会 か ら の ご 案 内

4月は、 岩原 剛さん(豊橋市文化財センター・主任学芸 員)の発表です。

タイトル:普門寺旧境内と三河の山寺について

三河と遠江にまたがる地域には、平安時代から密教寺院が建立され、寺の経営が代々営まれてきました。この冬に豊橋市美術博物館で「普門寺と国境のほとけ」展を企画された岩原剛さんにお話をお聞きしたいと思います。まず、今回の展示の前段階の(総論)=日ごろ携われている豊橋市を中心とする<文化財保護活動>についてのお話し。さらに仏像、経塚、建築、彫刻、美術、古文書などの(各論)=今回展示の<普門寺の文化財>について次にお話しいただく予定です。

日時  4月22日(土) 14時~17時

場所  愛知大学豊橋校舎 5号館4階 541教室

資料代 300円。学生はいつも無料です。

連絡先 愛知大学 名古屋ささしまキャンパス 愛知大学 国際コミュニケーション学部  比較文化学科 河野眞研究室気付 052-564-6119 内線80467 Eメール takakos@aichi-u.ac.jp

2017/03/14

三河民俗談話会よりお知らせ(170318)

【怪談・民話を地域資源として受け継ぐ-「小泉八雲」「ふるさと怪談」に学ぶ-】

地域に語り継がれてきた民話・昔話が静かに消えてゆく現代、
民間伝承を近代文学として活用した先覚者の一人である
小泉八雲の曾孫にあたり文化資源学にも詳しい小泉凡氏、
文芸評論家の東雅夫氏、田原市中央図書館長の豊田高広氏、
豊橋妖怪百物語の著者・内浦有美氏らに
怪談・民話を地域資源として受け継ぐ思いや方策について報告していただきます。

主催:愛知大学・綜合郷土研究所
日程:3月18日(土)13:30-17:00
会場:愛知大学豊橋キャンパス
http://www.aichi-u.ac.jp/kyodoken/access.html
定員:200名(入場無料、予約不要)

【第1部】
基調講演:「地域資源としてのふしぎ文学~小泉八雲と怪談の活用をめぐって~」
講師:小泉凡氏(小泉八雲の曾孫、小泉八雲記念館館長)

【第2部】
パネルディスカッション:「怪談・民話を地域資源として受け継ぐ-「小泉八雲」「ふるさと怪談」に学ぶ-
パネリスト:小泉凡氏
東雅夫氏(アンソロジスト、文芸評論家、ふるさと怪談トークライブ代表)
豊田高広氏(田原市中央図書館長)
内浦有美氏(株式会社うちうら代表、綜合郷土研究所研究員)