2023/05/12

230624中部地区修論発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2023年度中部地区修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第266回例会)
修士論文発表会

◆日時
2023年 6月24日(土)14:00~16:30 

修士4名(発表20分+質疑応答10分+入れ替え5分)

◆ハイフレックス開催
-南山大学Q棟Q103教室
-Zoom
参加希望者は6月23日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

>申込フォーム https://forms.gle/VR1FYpd8FWxmUFzU9

◆プログラム 

14:00~14:05 開会の挨拶

14:05~14:35 
南智博(南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)
「インカ帝国高地大規模遺跡の空間構造-王領と行政センターの比較-」
 (提出先:南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)

14:40~15:10 
山中海瑠(名古屋大学大学院人文学研究科・日本学術振興会特別研究員(DC 1))
「岐阜県大矢田神社「ひんここ舞」の歴史的変遷と芸態の再考-人形の物質性に注目して-」
 (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

(休憩)15分

15:25~15:55 
渡邊咲紀(長浜市曳山博物館)
「白川郷における互助組織について」
 (提出先;名古屋大学大学院人文学研究科)

16:00~16:30 
安藤救二(名古屋大学大学院人文学研究科)
「グローバリゼーション下における労働観の変容-性産業への人身の売買を事例に-」
 (提出先:名古屋大学大学院国際開発研究科)

◆発表要旨

14:05~14:35 
南智博(南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)
「インカ帝国高地大規模遺跡の空間構造-王領と行政センターの比較-」

【要旨】本研究は、インカ帝国の王領と行政センターと呼ばれるカテゴリーに属する大規模な遺跡の建築や空間構造を比較し、その違いを明らかにしようと試みたものである。インカ帝国とはかつて15~16世紀に南米のペルー南高地のクスコを中心に、中央アンデスの広大な範囲に栄えた国家である。この帝国は拡大に伴って、地方統治の拠点となる行政センターと呼ばれる施設を各地に、各王に属する王領と呼ばれる遺跡を首都周辺に配備した。本論では拡大期にあたる3代の王と対応させつつ、各カテゴリー3遺跡を選定し、比較検討を行った結果、遺跡の中心性や倉庫の形状の違いが確認され、その差異をインカの重要儀礼であるシトゥア祭に関連付けて考察を行った。

14:40~15:10 
山中海瑠(名古屋大学大学院人文学研究科・日本学術振興会特別研究員(DC 1))
「岐阜県大矢田神社「ひんここ舞」の歴史的変遷と芸態の再考-人形の物質性に注目して-」

【要旨】岐阜県美濃市大矢田の「ひんここ舞」は、小山の斜面に露天の舞台を設け、全長2m重量3㎏を超える巨大な棒人形を遣い、須佐之男命の大蛇退治を演じることで知られている。本研究は、舞で用いられる人形の物質性に注目しつつ、参与観察と聞き取り調査、古文書調査にもとづいて、舞の成立と展開を再検討するとともに、この舞を傀儡人形劇ないし中世的山鉾芸能に分類してきた従来の類型論を再考したものである。人形の物質的特徴と口頭伝承、古文書の内容の検討から、人形には異なる時期に導入された二種類が存在すること、近世以降に舞の担い手が農民へと変わり、芸態と意味づけが再構築された可能性を指摘した。以上の事例研究をもとに、人形の物質性とエージェンシーへの注目の有効性について予備的考察をおこなった。

15:25~15:55 
渡邊咲紀(長浜市曳山博物館)
「白川郷における互助組織について」

【要旨】岐阜県白川郷は、合掌家屋の屋根の葺き替えに代表されるユイと呼ばれる互助組織を発達させてきたことで知られている。本論文は、2021年に荻町で実施した現地調査にもとづいて、ユイの現状を記述、考察したものである。荻町が1976年に重要伝統的建造物群保存地区に指定され、1995年には「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としてユネスコの世界文化遺産に登録される過程で、茅葺き職人の登場などとともに生活におけるユイは失われ、住民の合掌家屋に対する視点も「住む家」から「保存するべき家」へと変化した。現在の村落生活においてユイの必要性は消失し、そのかわりに現代版「ユイ」と呼び得る任意参加の活動のみが存続している一方、自治体などの行政は、世界遺産としてこの「ユイ」を保護すべき対象として再解釈し、合掌造りという当地域独特の建築とセットで売り出すことで新たな「ユイ」を作り上げようとしていると結論づけた。

16:00~16:30 
安藤救二(名古屋大学大学院人文学研究科)
「グローバリゼーション下における労働観の変容-性産業への人身の売買を事例に-」

【要旨】本論文の焦点は、国際的な労働移動とその流れに不可分の関わりをみせる人身の売買問題にある。そのなかでも主に、労働力の性産業への売買を扱う。先行研究の主要な立場には、1)そのような取引を犯罪と見なし、それを防止し被害者を保護するために政策面から何ができるかという規制・管理の立場、2)売り買いされる人々が自己決定のうえで合意する労働ならば、それを認めるべきであるというジェンダー的側面から見たセックスワーク論の立場がある。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/


中部地区研究懇談会担当理事 湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 吉田早悠里(名古屋大学)、宮脇千絵(南山大学)

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2023/03/02

(共催)南山大学人類学研究所2022年度第2回公開シンポジウム「後藤明先生の研究の歩みと四人の巨人」(後藤明教授退職記念)

中部人類学談話会の会長も務められた後藤明・南山大学教授の退職記念シンポジウムを共催します。

ご参加いただくには事前登録が必要です(締切:3月11日)

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日 時:2023年3月11日(土)、13:30 ~ 17:30
会 場:南山大学Q棟104教室 および オンライン(Zoom)
主 催:人類学研究所
共 催:人文学部人類文化学科、人間文化研究科人類学専攻、中部人類学談話会
プログラム:
・「挨拶・趣旨説明」渡部森哉(南山大学人類学研究所)
・「学問上の四人の「巨人」」後藤明(南山大学人文学部人類文化学科/人類学研究所)
・「北方研究の立場から」大西秀之(同志社女子大学)
・「物質文化研究の立場から」角南聡一郎(神奈川大学)
・「オセアニア考古学の立場から」石村智(東京文化財研究所)
・討論


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参加登録:
・ご参加いただくには対面・オンラインともに事前登録が必要です。下記URLよりお申し込みください。締切:3月11日、17:00
・会場の都合上、対面参加者は上限を100名とさせていただきます。
・ご登録後に自動返信されるメールにZoomの情報があります。オンライン参加の方は当日そちらからZoomにアクセスしてください。
・ご登録後に対面参加からオンライン参加に変更していただいても構いません。またその際、ご連絡は必要ありません。
⇒⇒
https://app.nanzan.ac.jp/regform/regist/univ/jinruikenreception/jinruiken230311

―――――

ポスターのダウンロードはこちらから⇒⇒https://rci.nanzan-u.ac.jp/jinruiken/activities/item/20230311_goto_s.pdf

◆連絡先:南山大学人類学研究所(ai-nu(a)ic.nanzan-u.ac.jp)

2023/03/02

(共催)第7回 まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」

【主催】:第7回 まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」)
【共催】:中部人類学談話会第265回例会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)・第168回北陸人類学研究会例会(日本文化人類学会 北陸地区研究懇談会)

開催月日:
2023年3月4日(土)

開催時刻:
13:30-18:00

開催場所:
ハイフレックスで開催(発表者・コメンテータは原則対面とします)
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)金沢駅前オフィス(https://www.jaist.ac.jp/top/kanazawaoffice/)

発表者とタイトルまたはプログラム:
13:30-13:35 開会挨拶 伊藤泰信(JAIST)
13:35-13:55
菅沼文乃(南山大学人類学研究所)
沖縄都市部で「老後」をいかに生きるか?――現代日本社会における老いの人類学的研究
13:55-14:15
天野紗緒里(名古屋大学 博士後期課程)
(仮題)スピリチュアリティは現代女性に特有な生きづらさを癒すものなのか?
14:15-14:35
片岡良美(北海道大学 博士後期課程)・中尾世治(京都大学)
内部者としてのラボラトリー・スタディーズ――学際的な共同研究の申請・審査過程における文書の分析
14:35-14:55
加藤英明(南山大学人類学研究所)
「単品モノ」が生み出す共同性:異なる技法をもつ自動車産業の町工場の人びとの事例から

14:55-15:10
コメント:山口宏美(JAIST)・大谷かがり(JAIST)・小野田敬(理化学研究所)
15:10-15:20
コメントに対する発表者の応答

15:20-15:30 休憩
15:30-15:50
繁田智行(JAIST博士後期課程)
デザイン思考を取り入れた授業の演習課題における協働的創造性――文系大学におけるグループワーク講義を事例として
15:50-16:10
兼清慎一(JAIST博士後期課程)
贈与を目的とする電子地域通貨の便益をめぐるレトリック
16:10-16:30
齊田瞬(JAIST博士前期課程)・伊藤泰信(JAIST)
ウェアラブルデバイスがもたらす医師-患者間コミュニケーションの変化――生活習慣病患者を診療する医師を対象としたエスノグラフィ
16:30-16:50
井上和興(JAIST博士後期課程)・伊藤泰信(JAIST)
総合診療専門医を対象とした文化人類学的素養の教育方略の検討

16:50-17:05
コメント:藤川美代子(南山大学)
17:05-17:15
コメントに対する発表者の応答
17:15 休憩
17:25-18:00 全体討論

※2月24日(金)正午までに、以下のURLに必要事項を記入して送信してください。開催日までにZOOMのアクセス情報をお送りします。
https://forms.gle/z8Krcxrfp2gNVAS39

問い合わせ先:
研究会幹事
大谷 かがり
E-mail: s2040401[at]jaist.ac.jp(@を[at]に置き換えています)

2023/01/29

(共催)愛知県立大学映像制作ワークショップ10周年記念事業シンポジウム「映像人類学と大学教育: 実践事例報告と今後の展望」のお知らせ

愛知県立大学との共催企画のお知らせです。

オンラインでの実施ですので、参加ご希望の方は2月11日までに下記申込フォームからお申し込みください。

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◆開催概要
日時:2023年2月14日(火)16:00-18:00
参加方法:オンライン開催(Zoom)
・オンライン視聴のみとし、対面の会場は設置しません
・参加無料、要申し込み、定員100人

◆趣旨
映像や写真など、さまざまなメディアを用いた社会調査の技法の活用が求められる時代にあります。愛知県立大学では、2012年に学長特別教員研究費の助成のもと、外部講師の協力を得つつ、映像制作ワークショップを開始しました。以後、毎年の教育実践を重ね、2022年で10周年を迎えました。

今回のシンポジウムでは、これまでの映像制作教育の取り組みを振り返るとともに、複数の大学における教育の実践事例報告や、実習経験者のメッセージをまじえて、達成と課題を検討します。これらをもとに、最新の映像人類学の潮流をふまえた、新しい大学教育のあり方を展望します。

◆プログラム
・第一部:愛知県立大学10年の取り組み報告
亀井伸孝(愛知県立大学教授)
「開催趣旨」
「映像制作実習10年の歩み: 愛知県立大学の取り組み事例」

中村真里絵(愛知淑徳大学助教)
「映像制作実習の取り組みを通じて見えてくる映像と学生とのかかわり」

・第二部:各大学での実践事例報告
森田良成(桃山学院大学准教授)
「フィールドワークに基づく映像制作実習」

南出和余(神戸女学院大学准教授)
「映像制作実習を通じて考える人類学教育の意義」

・第三部:実習経験者からのメッセージ
星野佐和(京都大学大学院博士後期課程大学院生/本学国際関係学科卒業生)
「フィールドワークにおける音楽実践の撮影と映像資料の活用」

中山(味村)由衣(岐阜県川辺町職員/本学スペイン語圏専攻卒業生)
「映像制作実習とその後の映像制作について」

◆申し込み方法
以下のフォームから申し込みをお願いします(締め切り:2/11土)。
https://forms.gle/ZCZqmiqYh1R8BwNw9

◆連絡先
愛知県立大学多文化共生研究所
tabunka [a] for.aichi-pu.ac.jp

◆主催/共催
主催:愛知県立大学(多文化共生研究所ほか)
共催:中部人類学談話会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)

2023/01/17

230223中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)を2023年2月23日(木・祝)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。

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中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2023年2月23日(木・祝) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施
・会場:中京大学名古屋キャンパス 0号館(センタービル)2階ヤマテホール
 交通アクセス(地下鉄鶴舞線・名城線「八事」駅5番出口すぐ)
 https://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html

・Zoom(申込締切:2月21日 15:00
 > 申込フォーム(https://forms.gle/8MGQ1GuTCrQGgBNR7)

*対面参加かオンライン参加かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします
*参加の形式は当日変更してもかまいません。申し込みなしで対面参加していただいてもかまいません。
*Zoom情報は前々日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 
13:35~15:05 中野歩美(中京大学)
「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」
15:20~16:50 田森雅一(愛知大学)
「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

◆発表要旨

・中野歩美「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」

本発表では、北西インド・ラージャスターン州のタール砂漠地域で移動民として知られてきたジョーギーの定住後の住居の様式とそこでの住まい方について検討する。ジョーギーは現地の人びとの間で、呪術的・宗教的な力を有すると同時に、不潔で貧しい物乞いとして差別されるような〈聖〉かつ〈賤〉の両義性を備えた物乞いの移動民として知られてきた。しかし政府による近代化政策が進むなかで、40年ほど前から野営生活をやめて村の端に定住する者が現れ始め、現在では大半が定住的な生活拠点を持つようになっている。

本発表ではこうした背景を踏まえて、現在彼らがどのような住居のもとで、どのような住まい方をしているのかを事例をもとに考察する。それを通じて、一見すると村の定住民と変わらない暮らしを送るようになったジョーギーが、実際には絶えず即興的な住居空間を創発し続けていることを明らかにし、野営という生活様式と結びついた住まい方の技法として提示する。

・田森雅一「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

インド北西部に位置し、パキスタンと国境を接するラージャスターン州は「ジプシー(ロマ)」の原郷の一つとされ、音楽芸能にたずさわるさまざまなコミュニティに属する人々が暮らす乾いた大地である。彼らは、村落内外における伝統的社会関係の中で、ジャジマーンと呼ばれるパトロンのための音楽演奏や系譜語りなどを生業としてきた。しかしながら、インド独立後の社会経済的環境変化のなかでパトロンとの紐帯が失われ、海外での音楽活動に活路を見いだそうとする者たちが現れるようになった。このような動向は、1990年代のインド経済の自由化と地球規模のグローバル化の流れの中で顕著になり、彼らの海外における音楽活動の成功とそれによる社会経済的な影響力は、巡りめぐってローカルな社会やコミュニティの秩序に変化を与える要因の一つになっている。

本発表では、一年の大半をフランスなどの海外で暮らすラージャスターン出身のムスリム世襲楽士カーストのローカル・ヒストリーと、グローバル化の中で再帰的に問い直される集合的アイデンティティや社会規範などについて、ライフ・ポリティクスの視点から検討してみたい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事:湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長:渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局:深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2023/01/12

中部大学 人間力創成教育院シンポジウム 第1回 「中部大学のフィールド科学:愛知、中国、中央アジア、西アジア、アフリカ」のご案内

中部大学より下記シンポジウムの情報をご提供いただきましたので、ご紹介します。

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中部大学 人間力創成教育院シンポジウム

第1回 「中部大学のフィールド科学:愛知、中国、中央アジア、西アジア、アフリカ」


この度、国内外でフィールドワークを行って活躍する中部大学の教員がどのような活動をしているのか、その魅力、苦労、展望などをご紹介します。中部大学の学生、教職員、ならびに一般の方にオープンなシンポジウムです。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

*オンライン同時開催(Zoom)いたしますので、Zoom参加ご希望の方は、記載のURLから事前登録をお願いします。


     記

主催:中部大学人間力創成教育院
後援:中部大学教養課題教育プログラム(人文・社会リテラシー)
日程:2023年1月21日(土)13時00分~17時00分
会場:中部大学春日井キャンパス
不言実行館1F アクティブホール
オンライン同時開催(Zoom)
申込方法:当日会場参加の方は申込不要・参加自由
オンライン希望の方は 事前登録制 (1月19日15時まで)


>申し込みフォーム: 

https://docs.google.com/forms/d/12DXuzw5erTQgnCRj3UpGuzwko5IjYaAPkGJTvc0Qt3E/viewform?edit_requested=true

>案内ポスター:https://www.chubu.ac.jp/news/15184/


登壇者:
 西山伸一(人間力創成教育院・教授)、
 渡部展也(中部高等学術研究所国際GISセンター・教授)
 大橋岳(人間力創成教育院・准教授)
 和崎聖日(人文学部・准教授)
 大谷かがり(看護実習センター・助教)

対 象:学生・教職員・一般


*フォームでのお申込みに不都合がある場合は

gec@office.chubu.ac.jp

まで、氏名、所属、連絡先を添えてお申し込みください。

(ご登録いただいた方には、前日までに接続情報をメールにてお知らせいたします。)

問い合わせ先

人間力創成教育院事務室

gec@office.chubu.ac.jp

2022/10/19

221112中部人類談話会第263回例会(中部地方研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第263回例会(中部地区研究懇談会)を2022年11月12日(土)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。また懇親会へ参加希望される方は必ず事前申込をしてください。当日の飛び込み参加は受け付けません。


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中部人類学談話会第263回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年11月12日(土) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施
・会場:南山大学G棟 G26教室
 交通アクセス(地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
 http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

・Zoom(申込締切:11月11日12:00
 > 申込フォーム(https://forms.gle/J7MsLyDZvuXDzfT98)

*対面参加かオンライン参加かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします
*参加の形式は当日変更してもかまいません。申し込みなしで対面参加していただいてもかまいません。
懇親会は当日の飛び込み参加はできませんので、参加希望の方は必ずご登録ください
*Zoom情報は前日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 
13:35~15:05 杉藤重信(椙山人間学研究センター)
「学際的研究について:中部人類学談話会例会とわたし」
15:20~16:50 稲村哲也(愛知県立大学名誉教授・放送大学名誉教授)
「人類史・民族誌からの「レジリエンス」」

◆発表要旨

・杉藤重信「学際的研究について:中部人類学談話会例会とわたし」

中部人類学談話会は、1976(昭和51)年に第30回日本人類学会・日本民族学会連合大会が愛知学院大学歯学部を当番校として開催されたことを契機として、京都大学霊長類研究所に事務局をおいて発足した。第1回例会は1977(昭和52)年4月23日に瀬戸口烈司さん(当時、霊長類研究所)による「哺乳類の臼歯の起源についての最近の動向」であった。初期の記録をみると、人類進化や霊長類学、先史考古学などを始め、多様なテーマが取りあげられてきた。

わたしは、1988(昭和63)年に椙山女学園大学人間関係学部に着任した。着任前から、民博での共同研究「数理民族学」以降、文化人類学と情報科学の接点を目指す研究に力を入れるようになっていた。わたしは、2012(平成24)年春ごろまで、中部人類学談話会事務局を担当してきた。おもえば、談話会の学際性はいまさらながらに重要な意味をもっていたことに気付かされる。私自身の研究をあわせてふりかえりつつ、学際的研究の重要性について考えてみたい。

・稲村哲也「人類史・民族誌からの「レジリエンス」」

東日本大震災と福島原発事故、地球温暖化と気象災害、COVID19パンデミック(そして、ロシアによるウクライナ侵攻)と、私たちは困難な時代を生きている。 このような地球規模の課題を前にして、「私たちはどこから来たのか、私たちは 何者なのか」を知ることへの関心が高まっている。人間と社会を研究対象としてきた人類学から、現代社会に何が発信できるのだろうか。

そのような問題意識を持ち、発表者は、レジリエンス(「危機を生きぬく知」と定義)の観点から、放送大学TV科目「レジリエンスの諸相:人類史的視点からの挑戦」を2018年度に開講した(同タイトル教材、2018、奈良由美子・稲村哲也編、放送大学教育振興会刊)。また、2021年3月、『レジリエンス人類史』(稲村哲也・山極壽一・阿部健一・清水展編、京都大学学術出版会刊)を刊行した。本発表では、それらの内容に基づき、人類史・文明史を振り返ると共に、先住民社会の文化をレジリエンスの観点から考えたい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/


中部地区研究懇談会担当理事:湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長:渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局:深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/08/27

220925中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)を2022年9月25日(日)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。


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中部人類学談話会第262回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年9月25日(日) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施

・会場:南山大学M棟 M2教室
 交通アクセス(地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

・Zoom(申し込み締切:9月23日15:00)

 > 申込フォーム https://forms.gle/amTHaTok3YJi2pjx9

*設営のために人数を把握したいので、「対面参加」か「オンライン参加」かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします。

*どちらかを選択していただきますが、当日変更してもかまいません。またその際、連絡をしていただく必要はありません。

*Zoom情報は前日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 

13:35~15:05 彭宇潔(静岡大学)

「マルチ・コネクテッドネスと雰囲気の形成:カメルーン東南部の狩猟採集民バカの音声的な相互行為に着目して」

15:20~16:50 廣田緑(国際ファッション専門職大学)

「アーティスト・コレクティヴの協働実践~GUDSKULの事例から~」

◆発表要旨

・彭宇潔「マルチ・コネクテッドネスと雰囲気の形成:カメルーン東南部の狩猟採集民バカの音声的な相互行為に着目して」

本発表は、カメルーン南東部のピグミー系狩猟採集民バカを対象に、彼らにおける雰囲気(atmosphere)の形成と変化の様式を、一連の出来事と人々の相互行為から考察して明らかにする。雰囲気に関しては、これまでの民族誌、特に狩猟採集民に関する民族誌では、その場でしか感じられない「感覚(feel)」や、「行間(between the lines)」にしか読められないなにかとしてしばしば描かれている。バカたちには、大勢の人々が何かの出来事に突然関心を寄せて集まってしまう「ドドド現象」は日常的に見られる。それは彼らのマルチ・コネクテッドネスという相互行為の基本的な構えに裏つけられたと報告されている。本発表ではとりわけ、音声的な相互行為に着目して、バカたちの1)狩猟採集時のインタラクションと2)ある採集キャンプでの15日間の出来事を用いて分析をおこなう。そこで、彼らの「その場の雰囲気」はどのように形成・変化するのか、それはいかに周囲環境と彼ら自身の相互行為に影響されるのかを、マルチ・コネクテッドネスと関連して議論したい。

・廣田緑「アーティスト・コレクティヴの協働実践~GUDSKULの事例から~」

2022年にドイツで開催された国際美術展ドクメンタ15(2022.6.18~9.25)に、インドネシアのアーティスト・コレクティヴ〈ルアンルパ(ruangrupa)〉が選ばれた。〈ルアンルパ〉は各国で活動するアーティスト・コレクティヴを招待し、ドクメンタ15は無名コレクティヴが集結する異例の展覧会となった。

ドクメンタで示されたように、集団の名称で活動を行なうアーティスト・コレクティヴ(またはコレクティヴ)はいま、現代美術のひとつの実践の方法として注目を集めている。そこで本発表では、〈ルアンルパ〉が2017年にグラフィス・フルハラ(Grafis FuruHara)、セルム(Serrum)という2つのコレクティヴと協働で立ち上げ運営するアートのエコシステム、グッスクル(GUDSKUL)を事例に、アーティストが集団として活動することを選択した過程と、その実践について、インドネシアの文化歴史的背景を加えて考察する。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/


中部地区研究懇談会担当理事 湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/05/16

220619 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2022年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第261回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
2022年 6月19日(日)15:00~17:50

◆オンライン開催
Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
参加希望者は6月17日(金)12:30までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

> 申込フォーム https://forms.gle/miD2BTfGELZckpbL8

◆プログラム 

15:00~15:05 
渡部森哉(中部人類学談話会会長/南山大学)
開会の挨拶

《修士論文の部》(司会:宮脇千絵・南山大学)
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科人類学専攻)

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」
(提出先:愛知学院大学大学院宗教学仏教学専攻)

16:05~16:35 
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」
(提出先:名古屋市立大学大学院人間文化研究科)

休憩(15分)

《博士論文の部》(司会:深田淳太郎・三重大学)
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

◆発表要旨
《修士論文の部》
15:05~15:35 
湯屋秀捷(宮古島市総合博物館)
「沖縄県宮古島・島尻の神行事「パーントゥプナハ」の民族誌的研究-参与する者の多様性と行事の位置づけに注目して-」

【要旨】
 本論は、沖縄県宮古島市字島尻で毎年旧暦9月に行われる神行事「パーントゥプナハ」の準備から実施までのプロセスを民族誌的に記述し、行事が島尻社会の中でどのように位置づけられているのかを明らかにしようとするものである。
 パーントゥプナハは、3体の「パーントゥ」が集落を巡り、人や家屋に泥を塗り付け、招福と厄祓いを願うことに加え、集落3か所の特定の家では古老たちが酒宴を開き、パーントゥの来訪を待ち、歓待する行事である。論文では、行事の記述を中心的に行うとともに、行事以外でパーントゥのモチーフが現れた事例について記述した。
 行事の記述を通して、行事の実施は、様々な島尻の人々によって行われるものであること、行事の空間は、島尻の人々のみならず、見物人により形作られていること、また島尻の人々、見物人共に、行事への参与のあり方にも差異があることも指摘した。行事外では、パーントゥは島尻の象徴のように扱われる一方で、しばしば宮古島を代表するモチーフとして扱われることもあることを述べた。
 新型感染症の世界的流行に伴い満足な調査を行うことは出来なったが、地域で行われる伝統的行事の一側面を明らかすることはできたであろう。

15:35~16:05 
竹内麻耶華(名古屋大学大学院人文学研究科)
「日本における妙見信仰-中部地域を中心として-」

【要旨】
 星は、古来より北極星をはじめとして、航海や旅を行う際の目印に使われている。特に、漁業や農業、遊牧などを中心とした生業に活かし、星を頼みとする生活のなかで、星は次第に神格化されていき、星神信仰が発展してきたと考えられる。
 日本の星神信仰は、古代中国から朝鮮へと伝わり、日本へ影響したとされている。星を神とする信仰が日本にも伝わり、北極星や北斗七星を神格化したものとして、「妙見」が信仰されるようになる。妙見菩薩は、天皇たちなど貴族層から信仰され、民衆層へと広まっていったとされる。眼病平癒や息災にはじまり、武神や航海安全の神と幅広い特性をもって信仰されていった。
 本論文は、日本における妙見信仰を、先行研究を踏まえて整理した。さらに、従来の研究でほとんど扱われてこなかった、中部地域の妙見信仰を明らかにした。本論文では、愛知県春日井市内津町の内々神社と妙見寺を中心に、実地調査を踏まえて中部地域における妙見信仰の調査を行なった。

16:05~16:35
野田雅子(名古屋大学大学院人文学研究科)
「イギリスにおける砂糖消費の文化-砂糖工芸に関する考察を中心に-」

【要旨】
 イギリスのウエディングケーキ等にみられる砂糖工芸はじめ、歴史上最も砂糖に熱狂したイギリスに関しては、文化人類学、社会学、経済学の視点から取り組まれた研究は多い(S.Mintz、S.Charsley、川北稔ら)。筆者は砂糖工芸がなぜこれほど発展し続けることが可能だったのかを考察した。
 本論ではサトウキビの歴史と、植民地生産の経緯を歴史的に検証した。次に身分制度の確立による食生活の差異化の中で、富と権力のシンボルとなった砂糖の使われ方ついて考察した。さらに時代とともに王室のウエディングケーキが巨大化したこと、紅茶や食器等砂糖の周辺の産業の興りや、砂糖細工職人、そして女性達についても論じた。
 結論としては、砂糖はイギリス王権の拡大のために必須の要素であったこと。中産階級が新たな砂糖消費者となり、貴族的な生活習慣を取り込むこととも深い関連があったこと等が理解された。

《博士論文の部》
16:50~17:50 
愛葉由依(日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:広島大学))
「被爆者のトラウマにおける時空性と社会性:医療人類学的研究」

 本論文は、乳幼児期被爆者を含めた広島・長崎県内外で暮らす被爆者において、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージ、世間の眼差し等といった時空性・社会性に注目し、彼らのトラウマ反応とトラウマ記憶の形成・再生産の過程について明らかにするとともに、被爆者がそれぞれのトラウマとどのように折り合いをつけながら生きてきたのか、彼らの社会関係と社会環境の観点から再検討するものである。
 本論文では、PTSD概念の前提から離れ、外傷性記憶の典型的経路以外の経路にも着目することで、既存のPTSD概念からは零れ落ちてしまう事例を表面化させるとともに、被爆者にPTSD概念を適用することの妥当性についても検討した。本論文の意義は、被爆者のトラウマについて、時代ごとの社会背景やそれぞれの居住環境、ライフステージに着目し、経時的・動態的に再考することで、被爆者における社会的・文化的・政治的な問題をひも解いた点にある。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局 深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

2022/02/02

220226 中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)を2022年2月26日(土)に開催します。

Zoomを使ったオンラインでの開催となります。

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中部人類学談話会第260回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2022年2月26日(土) 13:00~17:45

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催です。
 参加希望者は2月25日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム https://forms.gle/68aiiin9Bc4WB3Xo7

◆プログラム 

13:00~13:05 開会の挨拶 

13:05~14:35 田中鉄也(中京大学)

 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

14:35~16:05 松崎かさね(鈴鹿医療科学大学)

 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

16:15~17:45 堀江未央(岐阜大学)

 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

◆発表要旨

田中鉄也 「カースト族譜から一族の会合へ―現代インドにおける「一族」の想像と「故郷」の創造」

 本発表では北インドのマールワーリーと呼ばれる人々によるカースト族譜の編纂と、それに続いて開催された一族の会合を事例に取り上げ、現代インドで「一族」がいかに想像され、さらに「故郷」がいかに創造されるのか、その過程を検証したい。本発表で着目するのは西ベンガル州コルカタ(旧カルカッタ)のある合同家族が経営する私企業である。マールワーリーと呼ばれる彼(女)らは、独立後にラージャスターン州ジュンジュヌーからコルカタへ移住し、家族で会社を経営してきた。この会社の経営者たちが中心となって、1990年代から族譜が編纂され、さらに2000年代からジュンジュヌーで一族の会合が四度開催されてきた。本発表では、まず族譜において一族の系譜関係がいかに描かれ、それが実社会における成員たちの人間関係をいかに形作っているのかを明らかにする。次に一族の会合に目を向け、その主催者マールワーリーや招待された(非マールワーリーの)一族の成員、さらにジュンジュヌーの地元住民への聞き取りを通じて、その企画が「故郷」をどのように形作ってきたのかを明らかにする。

松崎かさね 「東海地方の伊勢湾に面したある漁港の終わり/同地域の「山の神」信仰」

 発表者が現在調査を行っている三重県のある漁港は、かつてその地域で最も栄えた港であったが、漁師の高齢化や漁獲量の減少に伴い一番最初に廃港になると言われている。漁師らは魚が獲れなくなった主な経緯として四日市公害、長良川河口堰の建設、周辺住民によるゴミ問題などを挙げ、これらの問題について行政に度々訴えてきたと話す一方、そのような経過を経てきた現在の状況を「自然の摂理」や「何が悪いというわけでもない」などとも語る。本発表では現在の状況とともにそうした彼らの了解の仕方に着目する。また、後半は同地域における「山の神」信仰を取り上げる。この地域には「山神」と書かれた石碑が多くあり、これは古事記の「大山津見神」(山の神)または民間信仰の「山の神」のことであると説明される。本発表では「山神」が一体そのどちらであるのかを巡る人々の説明から、この地域の信仰について考えてみたい。

堀江未央 「共生的関係をひらく身体?雲南省山地民ラフにおける魂・功徳・漢族」

 共生という用語は、「多文化共生」という日本の政策的スローガンとして用いられるほか、symbiosis、conviviality、co-existenceなど、様々な単語の訳語として用いられる。この多義的な言葉を考える上で、本発表では身体に着目する。共生の位相は多様であるが、社会的分断を乗り越え他者との共生的関係を生み出しうるひとつの可能性として、生身の人間同士の個別具体的な身体的接触がしばしば取り上げられる。しかし、身体は常に文化的コードを帯びたものであるため、たとえ生身の接触が起こったとしても、それが引き起こす関係のあり方は一様ではない。

 本発表では、中国雲南省西南部の山地に住むラフのローカルな身体観に着目し、ラフの社会関係をふちどる身体構成要素である魂と功徳のあり方を提示する。その上で、近年ますます接触する機会の増大する漢族が、このローカルな身体に基づく関係性の上でどのような位置づけに置かれているのか、この50年ほどの変化について検討する。これらの検討を通して、中国の少数民族として生きる雲南ラフにとって最大の他者である漢族との関わり方の変遷を論ずる。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
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URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)