会場:名古屋大学人文学研究科/文学部 1階大会議室(110教室)
地下鉄名城線名古屋大学駅より徒歩約5分
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* キャンパスマップ http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html
プログラム:
13:30~14:30 発表① 吉田早悠里氏(南山大学国際教養学部)
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」
14:30~15:00 質疑応答
15:00~15:15 休憩
15:15~16:15 発表② 座馬耕一郎氏(長野県看護大学看護学部)
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」
16:15~16:45 質疑応答
備考: 終了後、懇親会
【発表要旨①】 吉田早悠里氏
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」
本発表は、エチオピア南西部カファ地方の事例をもとに、無文字社会においてどのように歴史が再構築されているのかについて、外国人研究者の研究成果との関わりをもとに論じるものである。2010年頃からカファ地方では、同地に1897年まで繁栄したカファ王国の歴史と文化を復元し、次世代に継承しようとする取り組みが活発になっている。しかし、カファ地方で話されているカファ語は文字をもたず、歴史資料も乏しい。加えて、口頭伝承やかつての歴史を知る人物の多くが他界し、同地の歴史を知ることは困難になっている。こうしたなかで、カファ王国時代を知る手がかりとして20世紀に同地を訪れた外国人研究者による研究成果が用いられるようになっている。そこで、外国人研究者による研究成果がどのようにカファ地方の人々に知られ、用いられているのか。また、それらが現地の人々の歴史観やアイデンティティにいかなる影響を及ぼしているのかについて検討する。
【発表要旨②】 座馬耕一郎氏
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」
本発表では野生チンパンジーの睡眠について紹介し、それをもとに私たちの眠りについて考察する。睡眠は生理的な欲求にもとづく行動である。レム睡眠やノンレム睡眠が哺乳類全般にみられることからも、ヒトの睡眠は進化の歴史の中でかたち作られてきた生理的な行動のひとつということができる。一方で睡眠は文化の側面も持つ。ベッドで眠る人もいれば畳の上に敷いた布団で眠る人もいるように、世界にはさまざまな眠り方がある。私たちの眠りについて深く考えるためには、睡眠を進化と文化の両側面から考える必要がある。
ヒトに近縁なチンパンジーやボノボ、ゴリラ、オランウータンは、夜になるとベッドを作りその上で眠る。チンパンジーのベッドは毎日、おもに樹上に作られる。木の枝葉を幾重にも重ねて作られたベッドは、楕円形で、中がくぼんだお皿のような形状をしており、このベッド作りは学習によると考えられている。このような樹上のベッドは、二足歩行をはじめた人類の祖先も作っていたとされ、その後地上で眠るようになり、眠り方の多様性が生じたと考えられる。発表ではチンパンジーのベッドをヒントに開発された人類進化ベッドについても紹介する。
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