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2023/01/17

230223中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)のお知らせ

中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)を2023年2月23日(木・祝)に開催します。

ハイフレックスで実施しますので、申込時に「対面参加」か「オンライン参加」を選択してください。

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中部人類学談話会第264回例会(中部地区研究懇談会)

◆日時
 2023年2月23日(木・祝) 13:30~16:50

◆ハイフレックスでの実施
・会場:中京大学名古屋キャンパス 0号館(センタービル)2階ヤマテホール
 交通アクセス(地下鉄鶴舞線・名城線「八事」駅5番出口すぐ)
 https://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html

・Zoom(申込締切:2月21日 15:00
 > 申込フォーム(https://forms.gle/8MGQ1GuTCrQGgBNR7)

*対面参加かオンライン参加かを選択していただきますが、全員にZoom情報をお送りします
*参加の形式は当日変更してもかまいません。申し込みなしで対面参加していただいてもかまいません。
*Zoom情報は前々日にお送りする予定です。

◆プログラム 

13:30~13:35 開会の挨拶 
13:35~15:05 中野歩美(中京大学)
「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」
15:20~16:50 田森雅一(愛知大学)
「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

◆発表要旨

・中野歩美「定住化した移動民と住まい方の技法ーーインドタール砂漠地域に暮らすジョーギーの住居空間に注目して」

本発表では、北西インド・ラージャスターン州のタール砂漠地域で移動民として知られてきたジョーギーの定住後の住居の様式とそこでの住まい方について検討する。ジョーギーは現地の人びとの間で、呪術的・宗教的な力を有すると同時に、不潔で貧しい物乞いとして差別されるような〈聖〉かつ〈賤〉の両義性を備えた物乞いの移動民として知られてきた。しかし政府による近代化政策が進むなかで、40年ほど前から野営生活をやめて村の端に定住する者が現れ始め、現在では大半が定住的な生活拠点を持つようになっている。

本発表ではこうした背景を踏まえて、現在彼らがどのような住居のもとで、どのような住まい方をしているのかを事例をもとに考察する。それを通じて、一見すると村の定住民と変わらない暮らしを送るようになったジョーギーが、実際には絶えず即興的な住居空間を創発し続けていることを明らかにし、野営という生活様式と結びついた住まい方の技法として提示する。

・田森雅一「グローバリゼーションとライフ・ポリティクスーー北西インド・ムスリム世襲楽士カーストの近現代」

インド北西部に位置し、パキスタンと国境を接するラージャスターン州は「ジプシー(ロマ)」の原郷の一つとされ、音楽芸能にたずさわるさまざまなコミュニティに属する人々が暮らす乾いた大地である。彼らは、村落内外における伝統的社会関係の中で、ジャジマーンと呼ばれるパトロンのための音楽演奏や系譜語りなどを生業としてきた。しかしながら、インド独立後の社会経済的環境変化のなかでパトロンとの紐帯が失われ、海外での音楽活動に活路を見いだそうとする者たちが現れるようになった。このような動向は、1990年代のインド経済の自由化と地球規模のグローバル化の流れの中で顕著になり、彼らの海外における音楽活動の成功とそれによる社会経済的な影響力は、巡りめぐってローカルな社会やコミュニティの秩序に変化を与える要因の一つになっている。

本発表では、一年の大半をフランスなどの海外で暮らすラージャスターン出身のムスリム世襲楽士カーストのローカル・ヒストリーと、グローバル化の中で再帰的に問い直される集合的アイデンティティや社会規範などについて、ライフ・ポリティクスの視点から検討してみたい。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
南山大学人類学研究所 宮脇研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事:湖中真哉(静岡県立大学)
中部人類学談話会会長:渡部森哉(南山大学)
中部人類学談話会事務局:深田淳太郎(三重大学)、宮脇千絵(南山大学)

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2020/08/09

200913 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2020年度中部地区博士論文・修士論文合同発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第254回例会)
博士論文・修士論文合同発表会

◆日時

2020年 9月13日(日)13:00~17:45

◆オンライン開催

Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
参加希望者は9月11日(金)18時までにこちらよりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

◆プログラム

《修士論文の部》
13:00–13:30
朴根模(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)
「在日コリアン社会の食文化変容に関する人類学的考察 —大阪市猪飼野・生野地域を事例に—」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

13:30–14:00
福田薫(愛知県立大学国際文化研究科博士後期課程)
「スピリチュアリティに関する宗教学的考察 —南インドのオーロビルを事例として—」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

14:00–14:30
伊藤紫
「地域社会に根ざす手織物 —八重山地域 小浜の事例—」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

14:30–15:00
片山詩音
「胡弓の事例研究に基づく音色の分析と芸能史構築の発展性に関する考察」
(提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

15:00–15:30
高田祐磨(南山大学大学院博士前期課程研修生)
「テオティワカン土器の分析と考察 —「月のピラミッド」出土の土器群を対象に—」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

(15:30-15:45 休憩)

《博士論文の部》
15:45–16:45
加藤英明(南山大学人類学研究所非常勤研究員)
「「単品モノ」をつくる町工場の民族誌 ―西三河地区における自動車生産ラインの裏側で―」
(提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

16:45–17:45
日丸美彦(愛知県立大学多文化共生研究所)
「文化の教育資源化と教育資本 ―フィリピン・ルソン島北部山岳地域ハパオ村での収穫儀礼の復活と教育演劇の実践―」
(提出先:愛知県立大学国際文化研究科)

 

◆発表要旨

《修士論文の部》

13:00–13:30
朴根模(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)
「在日コリアン社会の食文化変容に関する人類学的考察:大阪市猪飼野・生野地域を事例に」
【要旨】
大阪市猪飼野・生野は戦前から現在に至るまで、日本最大規模のコリアンタウンである。本発表では、戦前から現在に至るまでの同地域の在日コリアンの食文化変容を対象とする。在日コリアンが日本社会と衝突し、融合していく過程の中で行われたネゴシエーションという観点から、以下二点に注目して議論を行う。
一つは、在日コリアンの食文化の歴史的変遷に注目することである。そのために、①在日コリアンの経済環境など在日コリアンを取り巻く社会環境とその変化、および②来日時期の違いや帰化、結婚による立場と国籍の変化といった在日コリアン社会内部の多様化を、在日コリアンの食文化の形成と変化に影響を与える要素として取り上げる。
もう一点は、在日コリアンの食文化の継承、すなわち文化の再生産に注目することである。移住集団は、母国と異なるホスト社会の環境・社会・文化などのなかで、母国での食文化をそのまま維持することは困難である。しかしながら、移住集団は妥協による食文化の変化を受け入れながらも、他方ではエスニックタウンや各家庭レベルで自分たちの食文化を維持し継承する傾向がある。
このことから、猪飼野・生野の在日コリアンの食文化変容は、日本と韓国という文化的境界が混ざりあった結果であり、こうしたなかで生じる文化的ネゴシエーションを通じて、文化の混種性が現れるという論点を提示する。

13:30–14:00
福田薫(愛知県立大学国際文化研究科博士後期課程)
「スピリチュアリティに関する宗教学的考察:南インドのオーロビルを事例として」
【要旨】
本論は、インドに所在する目的共同体、オーロビルにおけるスピリチュアリティの在り様、宗教とはどういう関係性にあるのか、を明らかにすることを試みるものである。そのための手がかりとして同共同体で観察される「宗教性」、つまり宗教的象徴やオーロビル居住者の宗教的体験、そして「個人性」に注目した。「スピリチュアルであるが宗教的ではない」と謳うオーロビルのスピリチュアリティをめぐっては、同共同体の思想的支柱である二人の中心的存在、オーロビンドとマザーの間の「宗教とスピリチュアリティの区別」に関する差異から生じる矛盾があること、創立者であるマザーの影響をより大きく受けているオーロビルではそもそも「スピリチュアリティ」以外の在り様が許されていないこと、「宗教」を否定し忌避するオーロビルの中にも宗教的象徴に満ちた事物や宗教的体験の語りが見られ、スピリチュアリティと重なって併存・共存していることを指摘し、結論とした。

14:00–14:30
伊藤紫
「地域社会に根ざす手織物 ―八重山地域 小浜の事例―」
【要旨】
沖縄県八重山地域では、織物の多様な担い手が活動している。特に小浜島では、年中行事で適切な種類の手織りの着物を着ることが規範となっていると、先行研究で指摘されてきた。そこで、本論では、現代の地域社会において、この規範が共有・再生産される過程と、織物生産が作り手にもつ意味を考察した。
行事の観察と作り手のインタビューから織物の生産・使用の両場面を検討した結果、小浜の織物が、作り手・使い手の意識と実践において、義務的性質と趣味的性質を併せもち、その両面を集落内の相互評価に覆われていることが分かった。また、小浜の織物は集落の暮らしに根ざしているが、それと同時に、集落共同体の存続に織物が貢献していることが指摘できた。加えて、小浜の織物生産・使用は、八重山地域の織物の他の担い手の活動や行政施策とは異なる文脈にありつつも、それらと部分的に関係性をもち、ときに支えられていることを示した。

14:30–15:00
片山詩音
「胡弓の事例研究に基づく音色の分析と芸能史構築の発展性に関する考察」
【要旨】
本発表では、日本の伝統的な擦弦楽器である胡弓を主題とした修士論文の内容を紹介するとともに、この調査研究の内容に関連して、その後の社会人生活の過程で得られた知見をふまえ、博士後期課程以降における調査研究の内容と課題についても言及したい。
修士論文では、実際に演奏される場として、富山県民謡「越中おわら節」を事例に楽器の音色上の特性を対象とした。研究方法として、フィールドワーク及び聞き取り調査に基づき、演唱者が解釈する音色に対する語りを収集した。また、音楽的な図式として演唱の基本形を抽出するため楽譜化を試み、全体的な楽曲の構造を分析を実施した。語りと採譜の相互補完により、胡弓の位置づけや演唱への当事者意識・評価と、実際の音との比較から表象される音色の特性ついてより詳細な考察を試みた。
今後は、胡弓を用いる花街にも調査研究の対象範囲を広げ、楽器としての胡弓に引き続き着目しつつ、花街の芸能形態、音楽性における特徴を明らかにするとともに、花街の芸能と音楽を日本の芸能史の中に位置づけていくことを今後の課題とする。

15:00–15:30
高田祐磨(南山大学大学院 博士前期課程研修生)
「テオティワカン土器の分析と考察 ~「月のピラミッド」出土の土器群を対象に~」
【要旨】
昨年度1月に提出した修士論文は、古代メソアメリカ文明の都市テオティワカンから出土する土器について、充分に研究が進展していない都市形成期の状況などについて、とりわけ土器研究に着目して分析・報告を行ったものである。
現在、テオティワカンの都市形成期の土器の先行研究はわずかであり、その比較研究に乏しい。このような状況において、同遺跡のモニュメントである「月のピラミッド」は、この都市の起源研究・土器研究において重要な土器資料を提示している。このことを踏まえ、「月のピラミッド」出土の土器を対象に数量分析を行い、テオティワカン土器研究及び起源研究に貢献するようなデータの提示を通じて、これらの研究において未解明とされている問題点に関連して二つの設問を設定し、それにどのような解答ができるかを検証した。
分析の結果として、本論文は設定した二つの設問に適切な解答をすることができたと考える。しかし課題点もいくつかあり、それを踏まえつつ今後は「月のピラミッド」の層位ごとの土器の構成比に着目してそれぞれの層位での土器の諸型式の出土比率から、テオティワカンの土器文化について考察したい。

(15:30-15:45 休憩)

《博士論文の部》

15:45–16:45
加藤英明(南山大学人類学研究所非常勤研究員)
「「単品モノ」をつくる町工場の民族誌 ―西三河地区における自動車生産ラインの裏側で―」
【要旨】
本発表は、愛知県西三河地区の「単品モノ」の町工場の事例から、現代の工業社会に展開するモノづくりのありかたを考察するものである。「単品モノ」の町工場は、1回の発注個数が少量で素材や形態が毎回異なる設備部品や試作部品(=「単品モノ」)を製作する小規模工場であり、トヨタ関連工場の生産ラインの裏側で量産システムの維持に関わり存立している。しかし、従来のトヨタをめぐる研究では「単品モノ」の町工場の存在が看過されてきた。そのため、その実態を民族誌的記述でもって明らかにし、同時に人類学で研究蓄積の少ない現代の工業社会のモノづくり研究に寄与する。具体的には、「トヨタ生産システム」を概観し、「単品モノ」の町工場1社を中心に、その製作ネットワーク、仕事場のレイアウトの変遷、製作工程などを主たる事例として示す。そして、「単品モノ」の製作が「単品製作ブリコラージュ」というべき特徴をもち、なおかつ「トヨタ生産システム」と共進化し発展したことを指摘する。

16:45–17:45
日丸美彦(愛知県立大学多文化共生研究所)
「文化の教育資源化と教育資本―フィリピン・ルソン島北部山岳地域ハパオ村での収穫儀礼の復活と教育演劇の実践―」
【要旨】
本論では、ルソン島北部イフガオ州ハパオ村の収穫儀礼 綱引きプンノックの復活の事例と、イフガオ州の高校教師を対象とした聞き書き演劇ワークショップの事例を文化の教育資源化として捉え、身体を通じた伝統的知識の継承が、世界文化遺産である棚田の持続可能性に寄与する資源化になるのか、また持続可能性を構築する資本形成につながるかを示す。1995年にユネスコ世界文化遺産に登録されたコーディリエラ棚田群は、ルソン島北部山岳地域のイフガオ州に広がり、伝統的農耕儀礼社会が形成されてきた。しかし、近年のグローバル経済の急速な浸透により若者の海外への出稼ぎや都市部への流出などにより、伝統的農耕儀礼社会は変容を余儀なくさている。そうした中での収穫儀礼プンノックの復活と、農村の日々の暮らしを対象とする聞き書き演劇の事例を取り上げ、相互の関係性を明らかにし、地域の持続可能性に寄与する文化の教育資源化と教育資本とは何かを提示する。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部国際英語学科津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

2019/02/07

中部人類学談話会第247回例会のお知らせ(190223)

中部人類学談話会第247回例会が、下記の要領で開催されます。

みなさまふるってご参加くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆中部人類学談話会第247回例会◆

日時:2019年 2月 23日(土)13:30~16:50
会場:南山大学R棟 R56教室
*交通アクセス
地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

【プログラム】
13:30~14:30 発表① 深田淳太郎氏(三重大学人文学部)
「不在の死者と骨のあいだ:ソロモン諸島・ガダルカナル島における遺骨収容活動を事例に」

14:30~14:45 コメント 後藤明氏(南山大学人文学部)

14:45~15:05 質疑応答

15:05~15:15 休憩

15:15~16:15 発表② 張玉玲氏(南山大学外国語学部)
「日本における福建出身華人の移住・定住戦略:家族誌というアプローチから」

16:15~16:30 コメント 沼崎一郎氏(東北大学文学部)

16:30~16:50 質疑応答

備考:終了後、近隣にて懇親会

【発表要旨①】深田淳太郎氏
第二次大戦において海外で戦没した日本人は240万人にのぼる。戦後、実施された遺骨収容事業によって帰還したのは、2013年時点でおよそ半分の128万柱で、残りの112万柱は海外に残されたままである。本発表で考察するのは、この遺骨収容活動において、海外に置き去りにされた骨と、戦争で亡くなった死者、そして日本に残された遺族(生者)の間の関係である。この三者は、何によって、どのように関係づけられ、またその関係の中でそれぞれがどのように意味づけられるのか。そして、その関係・意味づけは、戦後七十年のあいだにいかに変容し、さらに現在どう変わりつつあるのだろうか。この問題について、あるボランティアグループがソロモン諸島・ガダルカナル島で行なっている遺骨収容活動を事例に考えてみたい。

【発表要旨②】張玉玲氏
日本国籍取得者や不法滞在者なども含めて100万人を超えたとされる在日華人社会は、今や日本最大のエスニック集団となっている。これらの華人の多くは1980年代以降中国の大陸から新たに来日した「新華僑(華人)」であり、出国の時期や動機および来日ルートなど、日中国交回復以前から移住・定住したいわゆる「老華僑(華人)」と大きく異なるため、両者は往々に別の枠組みで議論されることが多く、新、老華僑(華人)はまるで関係のない二つのコミュニティのように扱われてきた。
本報告では、ともに新老華僑(華人)のなかで大部分を占める福建出身者に焦点を当てる。個々人の移住を、その「故郷(母村)」を原点とする家族(一族)の移住・定住の歴史の枠で捉えなおし、新華僑(華人)による、血縁・地縁に基づく伝統的な「連鎖移住」のパターンの活用や老華人を介した積極的なネットワーク構築など、新華人の移住・定住戦略をよりミクロな視点から析出する。

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問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)

2019/01/27

第5回まるはち人類学研究会・中部人類学談話会第246回例会(190202)

第5回 まるはち人類学研究会(中部人類学談話会共催)が以下の要領で開催されます。

みなさまふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。

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◆第5回まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」)◆

【主催】:第5回 まるはち人類学研究会(「特別企画:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の大学院生・若手研究者との交流セミナー」)

【共催】:第151 回北陸人類学研究会例会(日本文化人類学会 北陸地区研究懇談会)、中部人類学談話会第246回例会(日本文化人類学会中部地区研究懇談会)

【日時】:2019年2月2日(土)13:00-17:30(若干変更の可能性もあります)

【場所】:北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)金沢駅前オフィス

https://www.jaist.ac.jp/top/kanazawaoffice/

 

<プログラム>

13:00-13:05 あいさつ 伊藤 泰信(JAIST)

13:05-13:10 参加者自己紹介

 

<まるはち人類学研究会研究発表>

13:10-13:35 伊藤 紫(南山大学大学院博士前期課程)

「八重山地域小浜島の手織物──集落に根差した織物作りと使用の現在」

 

13:35-14:00 加藤 英明 (南山大学大学院博士後期課程)

「NC旋盤のデザインと使用──愛知県刈谷市の浮動的町工場の事例より」

 

14:00-14:25 大谷 かがり(中部大学)

「子どもの健康を心配するおばちゃんたちと看護師の説明モデル、それらを翻訳する人類

学者──不就学の外国籍の子どもを支えるNPOでのフィールドワークから」

 

14:25-14:45  コメント 比嘉 夏子(JAIST)(20分)

 

14:45-15:00  休憩(15分)

 

<JAIST研究発表>

15:00-15:20 早川 和哉(JAIST博士後期課程)

「ハワイの伝統舞踊フラをめぐる法人類学──熊本市のフラ教室運営会社の訴訟事例から」

 

15:20-15:40 樋口 容視子(JAIST博士後期課程)

「在日ネパール企業人の社会関係資本と社会移動──エスニックビジネスの事例から」

 

15:40-16:00 須藤 修司 (JAIST博士後期課程)

「変容するメディア環境における有料放送をめぐる人類学的研究──視聴者のライフヒス

トリーから」

 

16:00-16:20 武田 彩子(JAIST博士後期課程)

「看護大学生の海外保健福祉事情研修での学び――異文化看護教育のエスノグラフィ」

 

16:20-16:40 池田 佳奈恵(JAIST博士前期課程)・伊藤 泰信(JAIST)

「医学部の文化人類学教育における映像メディアの活用──その可能性をめぐる予備的

検討」

 

16:40-17:00  コメント 中尾 世治(総合地球環境学研究所)(20分)

 

17:00-17:30 総合討論(30分)

 

17:30 閉会

 

懇親会

 

<問い合わせ先>

まるはち人類学研究会事務局 加藤英明(hide2369@hotmail.co.jp)

2018/12/04

【修正版】中部人類学談話会第245回例会のお知らせ(190113)

先日ご案内した中部人類学談話会第245回例会の開催日時に、誤りがありました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。つきましては、修正版のご案内をお送りします。どうか皆さまふるってご参加くださいますよう、あらためてお願い申し上げます。

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◆中部人類学談話会第245回例会◆
「野生霊長類保護の人類学」

日時:2019年1月13日(日)13:30-17:30
会場:南山大学 R棟R65教室
*交通アクセス
地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

【プログラム】
13:30-13:40 趣旨説明 竹ノ下祐二(中部学院大学看護リハビリテーション学部)

13:40-14:30 足立薫 (京都産業大学現代社会学部)
「餌やる人々:香港の野生マカクザルと人間の関係」

14:30-15:20 川本芳 (日本獣医生命科学大学獣医学部)
「獣害対策にみるレジリエンス:日本とブータンのちがい」

15:20-16:10 竹ノ下祐二
「ビジネス化するゴリラ保護」

16:10-16:20 休憩

16:20-17:00 コメント 奥野克巳 (立教大学異文化コミュニケーション学部)、松浦直毅 (静岡県立大学国際関係学部)

17:00- 総合討論

備考:終了後、懇親会

【企画趣旨】
「保護」が霊長類学の主要なイシューのひとつとなるのは1990 年代以降であるが、ひとくちに「野生霊長類の保護」といっても、その実情は多岐にわたる。また、保護の現場では、対象となる動物の生態を知ることと同等かそれ以上に、地域住民をはじめとするさまざまな関係者とのかかわりが重要である。
今回の談話会では、野生霊長類の保護を「人と自然のかかわり」のひとつと捉え、人類学的考察を深めることを目的とする。そのために、日本、アジア、アフリカで霊長類の保護に関わる3 名の研究者(霊長類学者) が講演し、人と野生動物の関わりを研究する2 名の人類学者によるコメントしたのち、みんなで議論したい。

【発表要旨】
◆発表1 足立薫 「餌やる人々:香港の野生マカクザルと人間の関係」
香港のマカク属のサルは、都市環境の人間の活動と隣り合わせに生息する。野生動物が保護される郊野公園には散策やスポーツを楽しむ人々とともに、野生動物に餌を与える人々が訪れる。餌やりを禁止して野生動物を自然状態にもどそうとする政府は、餌やりという自然との独自の関わり方を志向する市民に対応するとともに、一方で野生動物に避妊処置を施すことで自然状態に介入している。郊野公園でサルに餌をやり続ける人々とそれをとりまく社会的環境について、他地域の民族霊長類学研究の事例とも比較しながら紹介したい。

◆発表2 川本芳 「獣害対策にみるレジリエンス:日本とブータンのちがい」
自然災害のひとつに獣害があります。今回はこの災害からの回復力(レジリエンス)を話題に、日本とブータンの獣害対策について紹介します。日本は個体数調整を促進し生息数を減らす対策を進めています。一方、ブータンは自国製電気柵システムの開発を進めています。数を減らさないと被害が収拾できないか、被害対策の裏には野生生物と人間の共存問題があります。両国の対策には宗教や生命観・倫理観を反映したちがいがあります。

◆発表3 竹ノ下祐二 「ビジネス化するゴリラ保護」
野生ゴリラの保護活動の主要なトピックは、生息地の住民に対し、ゴリラやかれらの生息環境の消費的な利用をやめさせることの見返りとなる代替生計手段をいかにして提供するかということである。その目玉がゴリラ観光である。ゴリラ観光は成功すれば国や地域に多大な利益をもたらすが、その一方で、ゴリラの「商品化」が進み、現場にビジネスの論理が浸透する。この流れは、商業的成功が保全の成功と混同されるようになってゆく危険をはらんでいる。

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問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)

2018/09/02

中部人類学談話会第244回例会のお知らせ(180922)

9月22日(土)に中部人類学談話会第244回例会が開催されます。
以下にご案内申し上げます。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
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◆中部人類学談話会第244回例会◆

「人類学におけるイレズミ・タトゥー研究の新展開」

日時:2018年9月22日(土)13:30~17:00 (最大延長)
会場:名城大学ナゴヤドーム前キャンパス 西館DW401教室
地下鉄名城線ナゴヤドーム前矢田駅より徒歩約5分
*交通アクセス https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/dome.html

【プログラム】
13:30-13:30 趣旨説明 山本芳美氏(都留文科大学文学部)

13:40-14:20 発表1 山越英嗣氏(早稲田大学人間総合研究センター)
「「痛み」を通じた共同体の形成 千葉市で商店を営む若者たちのタトゥーを事例として」

14:20-14:30 質疑応答

14:30-15:10 発表2 桑原牧子氏(金城学院大学文学部)
「イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化 ジェル、ラトゥール再考」

15:10-15:20 質疑応答

15:20-15:30 休憩

15:30-16:10 発表3 津村文彦氏(名城大学外国語学部)
「東北タイにおけるサックヤンと憑依」

16:10-16:20 質疑応答

16:20-16:50 全体討論
コメンテーター 山本芳美氏(都留文科大学)

備考: 終了後、懇親会

【趣旨】

 今回の談話会は、科研費の共同研究「顔・身体表現から検討するトランスカルチャー下の装飾美」(No.18H04202)と「東南アジアにおける呪術的イレズミの人類学:知識と力をまとう身体の比較研究」(No.17K03300)に参画している研究者によるものである。

 イレズミ・タトゥー研究は、19世紀半ばから専門領域として立ち現れてきた文化・社会人類学のなかでも、古典的なテーマである。先行研究では、ある地域のイレズミの文様、理由、施術師を軸にした精緻な報告が積み上げられてきた。だが、2010年代に入り、日本の観光政策でインバウンドを招致するにあたり、潜在的にあった「温泉タトゥー」問題が焦点化したことに見るように、新たな研究の視座が必要とされている。本研究計画では、研究自体をアップデートさせるべく、社会や歴史のなかでの位置づけ、彫刻や布などのさまざまな表現形態とのつながり、断絶、そして身体感覚など、新しい視野を含んだ考察を試みる。その第一歩として、今回は中部人類学会談話会の場をお借りし、イレズミ・タトゥーを中心に研究してきた研究者が、各自のフィールドを手がかりに報告をおこなうものである。

【発表要旨1】 山越英嗣氏
「「痛み」を通じた共同体の形成 千葉市で商店を営む若者たちのタトゥーを事例として」

現代の日本社会における若者のタトゥーは、ファッションの一環としての消費活動や、あるいは支配社会への抵抗であるとする表層的な理解にとどまってきた。それに対して本発表が明らかにするのは、タトゥーを身体に入れる痛みと、「社会的逸脱者」というスティグマを背負うことの両方の「痛み」を同時に引き受けることを通して、特別な紐帯を築こうとする若者たちの姿である。本発表では、2012年に千葉市で行ったフィールドワークのデータを用い、彼らが身体に入れているタトゥーの具体的な図柄に着目した報告を行う。

【発表要旨2】 桑原牧子氏
「イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化 ジェル、ラトゥール再考」

本発表は、タヒチの社会状況とイレズミの道具や技法が変容することで、イレズミで彫られるティキがいかに生成変化したかをジェルとラトゥールを再考しながら論じる。ティキは伝統信仰においては「無形」を表す、模様のない木片であったのが、イレズミ施術では皮膚に有形で彫られ、有形であってもマルケサス伝統イレズミでは部位、そして道具の変化と共に全身へと形状が変容する。これらティキの物質性と形状が、「神像・偶像のティキ」と「模様のティキ」を、さらに、悪魔祓いの現場では「悪魔の入口のティキ」を生成させる。形状や物質性に誘導されながら、人々がティキに働きかけ、さらに、ティキに関わる人々の間で、ティキについての異なる見解が交わされることによって、イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化が生じることを考察する。

【発表要旨3】 津村文彦氏
「東北タイにおけるサックヤンと憑依」

 本発表は、タイの呪術的な力をもつサックヤン(sakyan)を取り上げ、身体装飾の一つと考えられてきたイレズミを媒介として、知識と力と身体とが交差する局面を分析する。敵からの防御、異性の誘惑などの神秘的な力をもつとされるサックヤンは、シャンやクメールからの影響を受けながらタイで古くから実践されてきたが、近年ではマスメディアを通して世界でも広く知られる。本報告では東北タイのいくつかの彫り師を事例として、仏教やバラモン教との関わり、憑依儀礼における意味づけ、美醜と善悪などを考察し、聖なる知識と呪的な力が物質性をもって立ち現れるという点で、東北タイに見られる他の呪術実践と深い関わりをもつ点を指摘する。
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問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)

2018/05/07

中部人類学談話会第243回例会のお知らせ(180520)

中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第243回例会)
修士論文・博士論文合同発表会

下記の要領で、中部地区修士論文・博士論文合同発表会を開催します。
みなさま、ふるってご参加くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◆日時
2018年 5月20日(日)14:00~17:45

◆会場
名古屋大学文学部 大会議室(room no.110)

◆アクセス
地下鉄名城線名古屋大学駅より徒歩約5分
*交通アクセス http://www.nagoya-u.ac.jp/access/index.html
*キャンパスマップ http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html

◆プログラム
《修士論文の部》

14:00-14:30  鈴木美香子(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)

「観光みやげとは何か:名古屋みやげを中心に」

日本に数多くある「観光みやげ」は、その多くが他人に分け与えることを前提とした食品であり、自分への記念品が中心である諸外国のみやげとは異なっている。近世までみやげの中心はお札や楊枝など、軽量でかさばらない物であり、土地名物の団子や餅などは旅人だけが味わえるものだった。その後、食品の保存技術や包装が飛躍的に向上するとともに、みやげの主役は食品に変わっていった。他方、「観光みやげ」とは、外国人旅行者が観光地で購入する工芸品などのことも指していたが、高度経済世長期に日本人による国内旅行が盛んになると、日本人向けのみやげも「観光みやげ」と呼ばれるようになった。本稿はこのような「観光みやげ」の成立と展開を「観光」と「みやげ」の変遷から改めて検証し、名古屋みやげを事例として分析した。その結果、「観光みやげ」には「観光みやげになる」うえでいくつかのパターンがあることを明らかにし、「観光みやげ」の類型論的検討をおこなった。

提出先:名古屋市立大学大学院人間文化研究科

14:30-15:00  張雪巍(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)

「地域観光を創造するまなざし:山梨県勝沼地域における葡萄観光活動の事例から」

本論文では山梨県甲州市勝沼地域における観光活動を事例として、観光活動におけるホストとゲストの立場をより明確化した上で、まなざし論の視点から、ホストのまなざしが如何に構築され、ゲストのまなざしと如何に関わるのかを考察した。また、まなざしが現地の観光活動にどのような影響を与えているのかを明らかにした。まず先行研究を通じて、まなざしという概念を把握し、ホストとゲストの相互関係を整理した。そして、先行研究の結論を現地調査で検証した。2015年から2016年にかけて、勝沼地域のホストを52人、ゲスト48人に聞き取り調査を行い、合計四回の現地調査を行った。また、ホストのまなざしの形成、過程、影響などの側面に分析の重点を置いた。結論として、本論文で取り上げたホストが常にゲストの範囲、ゲストの目的、ゲストのまなざしの変化に注目していることが分かった。また、ジョン・アーリのまなざし論を踏まえ、よりダイナミックかつ立体的なまなざし理論の構築を試みた。最後に、このまなざしがもたらした新たな影響について論述した。

提出先:名古屋大学大学院人文学研究科

15:00-15:30 ヒヤ・ムカルジー(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)

「日本とインドにおける習慣と信仰:出産儀礼の比較研究を中心に」

本研究の目的は、 地理的にも文化的にも大きく異なる日本とインドの社会における出産儀礼の比較研究をおこない、出産儀礼を通して、日本とインドの文化的背景、習慣上の異同を検討することにある。日本人とインド人にとって生育儀礼にはどのような意味が込められているのか、それらにおいて宗教と出産儀礼がどのように関連しているのかという点にとくに注目し、二つの社会における出産儀礼の類似点と相違点を論じた。宗教については、日本の場合は主として神道、インドの場合はヒンドゥー教に注目した。本発表では、民間伝承、伝説、昔話などを手がかりとしながら、それぞれの生育儀礼を紹介するとともに、比較検討を通じて明らかになった両者の異同について報告する。また、今後、二つの社会の出産儀礼から民間信仰の違いを把握するうえでの課題についても述べることにしたい。

提出先:School of Language, Literature and Cultural Studies, Jawaharlal Nehru University, India

15:30-15:45 休憩

15:45-16:15  吉田文久(南山大学大学院人間文化研究科博士後期課程人類学専攻)

「民俗フットボールの人類学的研究に向けて」

これまで(1993年以来)英国の17箇所に存続する民俗フットボールの調査に出かけ、ゲームの様子を記録し、それらがどのように現在に至っているのかを探る研究に取り組んできました。その研究に向かったのは、学校体育の教材としてサッカーは技術や戦術といったプレイに関わる学習内容に留まらず、スポーツの中でも豊かな文化的内容を有し、スポーツの文化的意義を学ぶ教材になるのではないかという問題意識からでした。今回の発表では、それまで取り組んできた体育科教育学研究から民俗フットボールを対象とするスポーツ人類学研究に向かった経緯、そして、これまで取り組んできた民俗フットボール研究の成果を概括し、英国ではメディアで取り上げられながら、日本では紹介されていないスコットランドのオークニー諸島のカークウォールに存続する民俗フットボールの様子も紹介させていただきます。さらに、博士論文の構想案も提示させていただき、広く意見を頂戴し、今後の研究活動に生かしたいと思います。

16:15-16:45 天野紗緒里(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)

「現代日本社会における占い師に関する文化人類学的考察:東海地方の占いの館の事例から」

本論文の目的は、現代日本社会における「宗教的なるもの」の提供者である占い師に着目し、彼らが占い師に至る過程を文化人類学的手法で民族誌的に記述することである。
第1章では、先行研究の批判的検証から、本論文では「宗教的なるもの」を提供してきた占い師に着目し、都市部の民間巫者・占者として捉えて微視的な視点から研究する必要性を示した。第2章では、占い師の代表的活動場所である「占いの館」について概略し、3章では、どのような占い師が働いているかを事例から分析した。第4章では、普通の人が占い師になる過程とどのように働いているかを民族誌的に描き、第5章では、占い師の視点で占いの相談を捉えることで、これまで議論されてこなかった占いのメンタルヘルスケアの側面に迫ることで、占い師は現代日本社会で生きる普通の人々であるからこそ、同じ社会で生きる人々の多様な「生」の状況に幅広く対応できる存在であることを浮き彫りにした。終章では、全体の議論の総括をした。

提出先:南山大学大学院人間文化研究科

《博士論文の部》

16:45-17:45 神山歩未(名古屋大学大学院人文学研究科博士研究員)

「「伝統」・移住・文化再創造:現代のマオリタンガ」

本論文は、ニュージーランド都市部在住の先住民マオリの文化実践をめぐる民族誌的記述と分析から、マオリタンガ(Māoritanga)を批判的に再検討するとともに、先住民の文化的独自性と権利の主張に関わる戦略的本質主義とアイデンティティ・ポリティクスの問題点を論じたものである。一部のエリート・マオリによる極端な本質主義化の議論は、マオリ文化の多様性を否定し、エリート・マオリが偽物扱いする都市在住マオリなどが二重に周縁化される危険性をはらんでいる。そこで本論文では、都市在住マオリに焦点を当て、彼らの「伝統的」文化実践と、世界的な環境保護運動の活発化と連動しつつ展開している新たな権利回復の主張を、マオリタンガの新たな展開例として記述、分析した。そのうえで、権利主張者としてのマオリの政治的立場を弱めることなく、戦略的本質主義がもたらし得る弊害を乗り越えるうえで、多配列思考が一定の有効性を持つことを指摘した。

提出先:名古屋大学大学院人文学研究科

*終了後、周辺にて懇親会の予定

◆お問い合わせ先
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com
(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/

2018/02/09

中部人類学談話会共催シンポジウムのお知らせ(180318)

みなさま

2018年3月18日(日)に南山大学人類学研究所にて以下のシンポジウムが開催されます。
皆さまのお越しを心よりお待ち申し上げます。

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公開シンポジウム
「 天文学と人類学の融合 第三回:それぞれの大地、それぞれの宇宙」
(主催:南山大学人類学研究所、共催:中部人類学談話会)

日時: 2018年3月18日(日)13:00~17:30
会場: 南山大学S棟4階S48教室
地下鉄名城線「八事日赤」駅より徒歩約8分)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

プログラム:

12:30 開場
13:00-13:10 趣旨説明 後藤 明

13:10-13:40 大橋真砂子(南山大学・名城大学)
「古代・中世ヨーロッパにおける春分の日付」

13:40-14:10 関口和寛(国立天文台)
「技術の進歩と宇宙観の変遷」

14:10-14:40 戸田美佳子(国立民族学博物館)
「森から見える星空ーアフリカ熱帯雨林における夜の世界」

14:40-15:00 休憩

15:00-15:30 中野真備(京都大学院)
「インドネシア・バンガイ諸島のサマ人の漁撈における天体利用」

15:30-16:00 古澤拓郎(京都大学)
「インドネシア・スンバ島西部の在来暦法:太陽・星・月・ゴカイ・儀礼・農耕のシグナル伝達」

16:00-16:30 小谷真吾(千葉大学)
「インドネシア・ロンボク島の暦法:天文・自然現象との関連、及び文化資源と しての再評価について」

16:30-16:45 休憩

16:45-17:30 コメントと総合討論
司会:後藤 明(南山大学)
総括コメント 高田裕行(国立天文台)

※シンポジウムは参加無料で、一般公開されております。

問い合わせ先:
南山大学人類学研究所
Phone:052-832-3111(代表)
Fax:052-833-6157
E-mail:ai-nu@ic.nanzan-u.ac.jp
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/JINRUIKEN/

2017/10/22

中部人類学談話会第242回例会のお知らせ(171209)

中部人類学談話会第242回例会
日時:2017年12月9日(土)13:30~17:00 (最大延長)
会場:名古屋大学人文学研究科/文学部 1階大会議室(110教室)

地下鉄名城線名古屋大学駅より徒歩約5分
* 交通アクセス http://www.nagoya-u.ac.jp/access/index.html
* キャンパスマップ http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html

プログラム:
13:30~14:30 発表① 吉田早悠里氏(南山大学国際教養学部)
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」

14:30~15:00 質疑応答

15:00~15:15 休憩

15:15~16:15 発表② 座馬耕一郎氏(長野県看護大学看護学部)
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」

16:15~16:45 質疑応答

備考: 終了後、懇親会

【発表要旨①】 吉田早悠里氏
「無文字社会における歴史の再構築と外国人研究者の関与:エチオピア南西部カファ地方の事例から」

本発表は、エチオピア南西部カファ地方の事例をもとに、無文字社会においてどのように歴史が再構築されているのかについて、外国人研究者の研究成果との関わりをもとに論じるものである。2010年頃からカファ地方では、同地に1897年まで繁栄したカファ王国の歴史と文化を復元し、次世代に継承しようとする取り組みが活発になっている。しかし、カファ地方で話されているカファ語は文字をもたず、歴史資料も乏しい。加えて、口頭伝承やかつての歴史を知る人物の多くが他界し、同地の歴史を知ることは困難になっている。こうしたなかで、カファ王国時代を知る手がかりとして20世紀に同地を訪れた外国人研究者による研究成果が用いられるようになっている。そこで、外国人研究者による研究成果がどのようにカファ地方の人々に知られ、用いられているのか。また、それらが現地の人々の歴史観やアイデンティティにいかなる影響を及ぼしているのかについて検討する。

【発表要旨②】 座馬耕一郎氏
「チンパンジーに学ぶ私たちの眠り」

本発表では野生チンパンジーの睡眠について紹介し、それをもとに私たちの眠りについて考察する。睡眠は生理的な欲求にもとづく行動である。レム睡眠やノンレム睡眠が哺乳類全般にみられることからも、ヒトの睡眠は進化の歴史の中でかたち作られてきた生理的な行動のひとつということができる。一方で睡眠は文化の側面も持つ。ベッドで眠る人もいれば畳の上に敷いた布団で眠る人もいるように、世界にはさまざまな眠り方がある。私たちの眠りについて深く考えるためには、睡眠を進化と文化の両側面から考える必要がある。
ヒトに近縁なチンパンジーやボノボ、ゴリラ、オランウータンは、夜になるとベッドを作りその上で眠る。チンパンジーのベッドは毎日、おもに樹上に作られる。木の枝葉を幾重にも重ねて作られたベッドは、楕円形で、中がくぼんだお皿のような形状をしており、このベッド作りは学習によると考えられている。このような樹上のベッドは、二足歩行をはじめた人類の祖先も作っていたとされ、その後地上で眠るようになり、眠り方の多様性が生じたと考えられる。発表ではチンパンジーのベッドをヒントに開発された人類進化ベッドについても紹介する。

問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局

  中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
2017/09/20

中部人類学談話会第241回例会のお知らせ(171014)

みなさま

10月14日(土)に、中部人類学談話会(第241回例会)が開催されます。
以下にご案内申し上げます。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

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中部人類学談話会第241回例会

日時:2017年10月14日(土)13:00~14:45

会場:南山大学R棟3階R65教室(当初のR35からR65教室へ変更となりました)

R棟地上階入口の右手にあるエレベーターで6階へお上がりください。

http://www.nanzan-u.ac.jp/CMAP/nagoya/campus-nago.html

アクセス 地下鉄名城線八事日赤駅より徒歩約8分
地下鉄鶴舞線いりなか駅1番出口より徒歩約15分

住所 〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18

【プログラム】
鈴木舞 氏(東京大学地震研究所)
「法と科学の交差:ニュージーランドにおける科学鑑定の分析」

〈発表要旨〉
今日、我々の生活において科学は不可欠の存在となっており、文化人類学でも1970年代以降、科学的知識の産出プロセスや科学と社会との関係性が重要な研究課題となってきた。本発表ではこうした科学に関する文化人類学の研究潮流に基づき、多様な科学分野の中でも、犯罪に関連する科学の検討を行う。
近年、犯罪捜査や裁判に貢献するために、DNA型鑑定をはじめとして、犯罪の証拠資料を科学的に分析する科学鑑定が、法科学ラボラトリーで実施されている。科学鑑定は法科学とよばれる科学に基づいて行われるが、科学鑑定の結果は裁判などの法的文脈の中で利用される。そのため、科学鑑定の現場である法科学ラボラトリーとは、法と科学という異なる認識枠組みを持つものが交差する場であり、それ故に様々な問題も生じている。本発表では、ニュージーランドの法科学ラボラトリーでのフィールドワークに基づき、法と科学が交錯する中で、どのように科学鑑定が遂行され、いかなる問題が発生し、それが解消されていくのかを分析する。

備考:終了後、懇親会(18:00~を予定)

*付記*
南山大学人類学研究所では、10月14日(土)15:00から、
亡命チベット人を描いたドキュメンタリー映画 『ラモツォの亡命ノート』上映とトークセッションが予定されています。
ご関心がおありの方は、談話会にも映画会にもふるってご参加ください。
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/JINRUIKEN/activity/2017/20171014_Tibetianwoman.pdf

【お問い合わせ先】
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中部地区研究懇談会担当理事 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)