210612 中部地区 博士論文・修士論文発表会のお知らせ

みなさま

このたび、下記の要領で、2021年度中部地区博士論文・修士論文発表会を開催することとなりました。
ふるってご参加くださいますよう、お願い申し上げます。

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中部地区研究懇談会(中部人類学談話会第256回例会)
博士論文・修士論文発表会

◆日時
 2021年 6月12日(土)13:00~17:55

◆オンライン開催
 Zoom を使ったオンラインでの開催とします。
 参加希望者は6月11日(金)正午までに下記URL(Googleフォーム)よりお申し込みください。追ってアクセス情報をお送りします。

 > 申込フォーム
  https://forms.gle/QKkMtVuq4bu1wSTm7

◆プログラム 
13:00〜13:10 開会の挨拶

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院国際文化研究科)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」
  (提出先:南山大学大学院国際地域文化研究科)

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」
  (提出先:南山大学大学院人間文化研究科)

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」
  (提出先:名古屋大学大学院人文学研究科)

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」
  (提出先:名古屋大学大学院文学研究科)

◆発表要旨

《修士論文の部》
13:10–13:40
趙 静怡(愛知県立大学大学院)
「日中の七夕に関する漢詩の比較研究」

【要旨】
 日中両国は隣国であり、二千年にわたる歴史の中で様々な交流がある。「七夕漢詩」はその代表的な一例である。古来、中国古典文学の主流であり、日本人にも愛される漢詩は、文学史における重要な存在である。しかし、先行研究では、七夕の起源や日本への伝来および定着の過程については検討されているが、文学の方面、特に両国の七夕漢詩については、十分に論じられていないと見られる。
現存する日中両国の多くの漢詩は、文学作品としての価値があるだけでなく、両国の歴史上の生活、社会、思想の変化を示すよい素材でもある。本稿は中国と日本の七夕に関する漢詩の分析・比較を行った。その結果、時代の変遷より、両国の七夕文化も、漢詩もそれぞれ異なる特徴を持ってきたことが明らかになった。同時に、思想・審美、理想的な社会への憧れ及び宗教に対する態度などの変化、両国の七夕漢詩の中にもれなく反映されていることが分かった。

《博士論文の部》
13:40–14:40
吉田 文久(日本福祉大学)
「英国における民俗フットボールの人類学的研究 -その変容の社会的背景と存続の現代的意義-」

【要旨】
 本研究は、英国に存続する民俗フットボールについて、その実態及び特徴を整理し、それらが存続してきたなかで見られるゲームの変容やその社会的背景について明らかにする。その上で、民俗フットボールの現代的意義を検討し、その教育還元の可能性について言及することを目的とする。まず、民俗フットボールの多様性が確認され、民俗フットボールが近代スポーツの前史のゲームとしてこれまで位置づけられてきたことについて、それらは並立・並存するものとして捉えるという新たな知見を得ることができた。また、民俗フットボールの姿を、Kirkwallを事例にして民族誌的に整理することで、その変容・存続の様子から、コミュニティを統合する契機となるように住民たちが主体者となって働きかけるという社会的機能の内実を示すことができた。さらには、近代スポーツがルールによってその厳格化を図るのとは異なり、民俗フットボールでは暴力性がゲームを成立させ、また楽しみを保障する大切な要素となることも明らかになった。以上のような考察をもとに導き出される民俗フットボールの文化的意義、社会的意義をもとに教育還元の可能性も見出すことができた。

14:40–15:40
足立 賢二(宝塚医療大学)
「古武道における伝承の歴史人類学的研究:モノ・ナマエ・ワザの過去と現代」

【要旨】
 本論文は、現代日本で政策的に活用され、近年ロビー団体により文化財保護法への明文化が目指されている古武道という武術のジャンルを、伝承という観点から論じたものである。世代を越えて受け継がれるものとされる伝承を追究するために、本論文では現代の古武道に対する体験的調査と、過去の武芸に関する未公刊史料の調査踏まえ、古武道の伝承について、その伝承のありようと、伝承の継続・同一性の実態、そして伝承から伝統が構築される契機、の3点を分析した。分析結果からは、古武道の伝承とは行伝・書伝・口伝という三伝から構成されるもので、その身体技法には物質的側面が必須であり、それらの特徴は歴史的に一貫して不変に見えるものの実際は変化・変容してきたものであって、さらにその伝統は、急激な社会変化を契機として構築されたものであることが明確化した。そして、このような古武道の伝承が、実践・身体技法・実践共同体・文化における“消化”と“モデルチェンジ”・文化のナショナリズムといった文化人類学的視座からとらえることができる点を主張した。

(15:40-15:55 休憩)

15:55–16:55
ムカルジー ヒヤ
「現代都市部における産育をめぐる習俗と信仰の研究ー愛知県名古屋市の事例を中心にー」

【要旨】
 本論文は、病院出産が当たり前となっている都市部における出産に関わる習俗と儀礼の現状と変化を詳細に検討するために、初めて事例研究として愛知県名古屋市の事例を取り上げ、安産祈願の実践内容、とくに腹帯祝いの習慣、安産祈願と社寺の関係、里帰り出産の慣行、出産をめぐる禁忌、出産と「穢れ」観、出産と産育に関する知識の入手先、といった項目の調査研究をつうじて、日本の出産と産育に関わる習俗と儀礼の研究に新たな資料と知見をもたらすことを目的とする。調査研究の手法としては、聞き取り調査、直接観察、質問票を用いた調査を併用した。研究の結果として、筆者は時代の変化とともに病院出産が一般的となった今でも従来どおり、女性が妊娠すると胎児の安産を願って妊娠の五ヶ月目頃、縁起の良い日とされる「戌の日」に社寺に参拝し、お腹に腹帯を締める習俗が継承されている。しかし、現代の妊婦にとってそれらの儀礼の意味内容は、主に現代医療の知識の観点から重視されるものとなっていることを指摘した。

16:55–17:55
小沢 誠(名古屋大学大学院人文学研究科)
「新たな聴衆の誕生 1980年代日本におけるマーラーブームの事例から」

【要旨】
 本論文は、クラシック音楽愛好家たちのあいだでさほど注目を集めていなかったグスタフ・マーラーとその楽曲が、1970年代以降に演奏回数が急激に増加し、1980年以降にブームを迎えた事実に注目し、その要因を「新たな聴衆層の誕生」という観点から読み解こうとしたものである。具体的には、(1)マーラーが普及する環境条件の整備、(2)聴衆と音楽の聴き方の変化、(3)音楽関連メディアの活動とその役割、の3つの視点から資料の提示と考察をおこなった。
 本論文はマーラーブームの要因を次のように結論づけた。1970年代以降、社会状況の変化とともにクラシック音楽愛好家の嗜好も変化し、それまで主流とされてきたベートーヴェンの克己型、課題解決型の音楽を正しく聴取し理解することで自己を高めるという聴き方ではなく、個人の内面と向き合い、癒しを求めるような聴き方に変貌した。他方で、こうした音楽の聴き方は従来のクラシック音楽愛好家以外の層にも普及した。このグループは出身階級に拠らない愛好家集団であり、それまでのベートーヴェンを代表とするクラシック音楽愛好家層とは明らかに異なる、新たな「界」ということができる。
 そして、CDやステレオセット、FMエアチェックなどの普及が、かつてないほどの高音質によるマーラー聴取を可能にした。

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◆お問い合わせ先
中部人類学談話会事務局
名城大学外国語学部 津村研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
Facebook:https://www.facebook.com/ChubuJinrui/
URL: https://anthroch.wordpress.com/

中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会事務局 津村文彦(名城大学)、深田淳太郎(三重大学)

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