「人類学におけるイレズミ・タトゥー研究の新展開」
日時:2018年9月22日(土)13:30~17:00 (最大延長)
会場:名城大学ナゴヤドーム前キャンパス 西館DW401教室
地下鉄名城線ナゴヤドーム前矢田駅より徒歩約5分
*交通アクセス https://www.meijo-u.ac.jp/about/campus/dome.html
【プログラム】
13:30-13:30 趣旨説明 山本芳美氏(都留文科大学文学部)
13:40-14:20 発表1 山越英嗣氏(早稲田大学人間総合研究センター)
「「痛み」を通じた共同体の形成 千葉市で商店を営む若者たちのタトゥーを事例として」
14:20-14:30 質疑応答
14:30-15:10 発表2 桑原牧子氏(金城学院大学文学部)
「イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化 ジェル、ラトゥール再考」
15:10-15:20 質疑応答
15:20-15:30 休憩
15:30-16:10 発表3 津村文彦氏(名城大学外国語学部)
「東北タイにおけるサックヤンと憑依」
16:10-16:20 質疑応答
16:20-16:50 全体討論
コメンテーター 山本芳美氏(都留文科大学)
備考: 終了後、懇親会
【趣旨】
イレズミ・タトゥー研究は、19世紀半ばから専門領域として立ち現れてきた文化・社会人類学のなかでも、古典的なテーマである。先行研究では、ある地域のイレズミの文様、理由、施術師を軸にした精緻な報告が積み上げられてきた。だが、2010年代に入り、日本の観光政策でインバウンドを招致するにあたり、潜在的にあった「温泉タトゥー」問題が焦点化したことに見るように、新たな研究の視座が必要とされている。本研究計画では、研究自体をアップデートさせるべく、社会や歴史のなかでの位置づけ、彫刻や布などのさまざまな表現形態とのつながり、断絶、そして身体感覚など、新しい視野を含んだ考察を試みる。その第一歩として、今回は中部人類学会談話会の場をお借りし、イレズミ・タトゥーを中心に研究してきた研究者が、各自のフィールドを手がかりに報告をおこなうものである。
【発表要旨1】 山越英嗣氏
「「痛み」を通じた共同体の形成 千葉市で商店を営む若者たちのタトゥーを事例として」
現代の日本社会における若者のタトゥーは、ファッションの一環としての消費活動や、あるいは支配社会への抵抗であるとする表層的な理解にとどまってきた。それに対して本発表が明らかにするのは、タトゥーを身体に入れる痛みと、「社会的逸脱者」というスティグマを背負うことの両方の「痛み」を同時に引き受けることを通して、特別な紐帯を築こうとする若者たちの姿である。本発表では、2012年に千葉市で行ったフィールドワークのデータを用い、彼らが身体に入れているタトゥーの具体的な図柄に着目した報告を行う。
【発表要旨2】 桑原牧子氏
「イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化 ジェル、ラトゥール再考」
本発表は、タヒチの社会状況とイレズミの道具や技法が変容することで、イレズミで彫られるティキがいかに生成変化したかをジェルとラトゥールを再考しながら論じる。ティキは伝統信仰においては「無形」を表す、模様のない木片であったのが、イレズミ施術では皮膚に有形で彫られ、有形であってもマルケサス伝統イレズミでは部位、そして道具の変化と共に全身へと形状が変容する。これらティキの物質性と形状が、「神像・偶像のティキ」と「模様のティキ」を、さらに、悪魔祓いの現場では「悪魔の入口のティキ」を生成させる。形状や物質性に誘導されながら、人々がティキに働きかけ、さらに、ティキに関わる人々の間で、ティキについての異なる見解が交わされることによって、イレズミ=ティキの神像・偶像化と模様化が生じることを考察する。
【発表要旨3】 津村文彦氏
「東北タイにおけるサックヤンと憑依」
問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 亀井伸孝(愛知県立大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)
中部人類学談話会事務局 岡部真由美(中京大学) 、藤川美代子(南山大学)
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