みなさま
下記の要領で中部地区研究懇談会・博士論文発表会(中部人類学談話会第238回例会)を開催します。
みなさま、ふるってご参加ください。
—————————————
中部地区研究懇談会・博士論文発表会(中部人類学談話会第238回例会)
日時: 2017年1月28日(土)15:00~17:30
会場: 名古屋大学文学研究科・文学部 110大会議室
※参加無料・事前登録不要
【プログラム】
廣田緑(名古屋大学大学院文学研究科)「インドネシア現代美術と美術家:つくる・買う・支援する主体をめぐる民族誌」
青木啓将(名古屋大学大学院文学研究科)「物質性をめぐる人類学的研究:日本刀の事例における製作、意味の生成、社会関係を中心に」
備考: 終了後、懇親会
【発表要旨】
◆廣田緑
本論文は、インドネシア現代美術の成立と展開を再構成しつつ、「つくる主体=美術家」、「買う主体=蒐集家」、 近年出現した「美術を支援する主体=アートマネジメント」たちの語りと活動、相互関係に関する詳細な記述をおこなうとともに、インドネシア現代美術史におけるこれら行為主体の動向と推移の考察をとおして、現代美術が持ち得る社会的・政治的意義を再考したものである。先史時代から現代に至るインドネシア美術の歴史を再構成するとともに、インドネシア現代美術が一貫して新旧の価値観をめぐる闘争の場であり、現実の社会・政治問題と向き合い、民衆の代弁者となって社会を変革していく力を秘めてきたことを指摘した。これの知見をふまえ、インドネシア現代美術が社会と緊密につながる「ソーシャル・エンゲイジド・アート=社会関与型美術」としての側面を持ち続けてきたこと、それは政治状況が大きく変わった現在でも、新たな展開を見せつつ継承されていることを指摘した。
◆青木啓将
本発表は、現代日本社会における日本刀を事例として、その製作過程、意味の生成、日本刀を介した社会関係を明らかにする。そして、日本刀をめぐる民族誌的記述と考察をもとに、物質文化に関する研究および、人とモノの相互交渉をより精緻に捕捉し得る視点と手法における新たな可能性について検討する。とりわけ本発表は、日本刀の多義的な意味が生じる相互交渉の過程に焦点をあて、人とモノとの相互交渉における微細な領域にアプローチする物質文化研究に寄与したい。
結論としては、第一に、人びとの刀を手に取り鑑賞ないし、使用する経験が「刀の世界」とその外部を分ける大きな要因であると指摘し、社会関係の生成への物質性の関与を確認する。第二に、本論文における物質性の捕捉方法の確認を通して、モノそれ自体とその変遷、人のモノに対する認知、表象や想像、そして、生成され、維持ないし修正される社会関係を取り結ぶ交錯点に物質性を位置づけるべきであると主張する。第三に、本論文の課題として、物質性とともにアプローチされるべき感性の研究を示唆する。
問い合わせ先:
中部人類学談話会 << anthro-chubu >> 事務局
中京大学現代社会学部岡部研究室気付
E-mail: anthroch[at]gmail.com(@を[at]に置き換えています)
URL: https://anthroch.wordpress.com/
中部地区研究懇談会担当理事 佐々木重洋(名古屋大学)
中部人類学談話会会長 後藤明(南山大学)